2019年6月20日(木)

「5000年に1度」の奇跡 レスター優勝の衝撃力
フットボールライター 森昌利

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2016/5/23 6:30
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ところが、今回のレスターの場合は逆に大出血を強いられる結果になった。

想像してほしい。例えば、あなたが事業主で、100円のもうけを得るために50万円のリスクを負う商売をしなければならないといわれたら、どう思うであろう。

そんなばかなリスクを負う商売なんてありえないと思うに違いない。

プレミアリーグの優勝トロフィーをかかげるレスターの岡崎=共同

プレミアリーグの優勝トロフィーをかかげるレスターの岡崎=共同

ところが、今回のレスターの5001倍の払い戻しは、まさしく50万円をエサに100円を得るという論理を英ブックメーカーが実践して起こったものなのである。

多勢に無勢というニュアンス明確に

まずはこの5001倍を英国で表示される「5000-1」に戻してみよう。すると、この倍率が尋常でないことがみえてくる。

英語でいうと「ファイブサウザンド・トゥ・ワン」。5001倍に膨れ上がるという倍率以前に、5000に対する1という意味合いになり、1で5000に挑む、そんな多勢に無勢というニュアンスが明確になる。

日本流に「5001倍」と倍率でいわれたら、当たったときの配当をイメージし、なんとなくロマンチックな感じもするが、英語の世界では、まずその前に5000分の1の確率に賭けるという、むちゃくちゃな勝負に挑む感覚が先に浮かび上がる。

ついでにいえば、英国で「アゲンスト・ザ・オッズ」(against the odds)、つまり「オッズに逆らう」という表現は、たいてい不利な戦いを挑むという意味合いで使われるもので、それは当然オッズの倍率が大きくなればなるほど無謀さが増すことになる。

つまり、英ブックメーカーにとって、今回のレスター優勝の確率は「プレミアリーグを5000回戦って1度優勝する」というものだった。言い方を変えると「5000年に1度の出来事」なのである。

もし過去に起こっているとすると、紀元前3000年の古代エジプトやメソポタミア文明の時代までさかのぼることになる。日本はまだ縄文時代。こう記せば「5000-1」がブックメーカーにとって「レスター優勝は絶対にありえない」という認識だったことがよく分かる。

「全くもって、予想すらしなかった。うちはレスター優勝に関して、1000-1以上の賭けを619件受けており、その払い戻しは300万ポンド(約4億8000万円)を優に超えている」

そう語るのはオンラインでは英最大のブックメーカー「ベット365」の広報マン、スティーブ・フリース氏だ。

彼は今回のレスター優勝に関し、「スポーツベッティング(スポーツ賭け)の世界で史上最大のショック」と開口一番に言った。このコメントの「スポーツベッティング」の箇所を「ブックメーカー」に置き換えた方がしっくりくるだろう。

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