2019年7月21日(日)

「5000年に1度」の奇跡 レスター優勝の衝撃力
フットボールライター 森昌利

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2016/5/23 6:30
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今季のプレミアリーグを制したレスターを最もよく知る英国の記者といえば、地元紙「レスター・マーキュリー」の番記者ロブ・ターナー氏だろう。地元の熱狂的なファンのために、連日レスターだけを追いかける日々を7年間、過ごしてきた。

そのロブが7月7日に本を出版する。七夕に出る書籍のタイトルは「5000-1」だ。昨年7月8日のピアソン前監督解任に始まる今季のレスターの「奇跡の軌跡」を描いたドキュメントである。すでに日本での出版も決まっているらしい。

5月15日にプレミアリーグの全日程が終わり、翌16日には人口30万人の都市で24万人の人出を記録した優勝パレードが行われ、歓喜に包まれた。

岡崎慎司は自身、バーディーやマレズに水をあけられた思いが強く、最終戦のチェルシー戦直後は「悔しい」を連発したが、レスターのユニホームを着た群衆でぎっしり埋まった2キロの青い道のりを90分もかけてのろのろと進んだ2階建てバスの上では満面の笑顔だった。

特設ステージが組まれたビクトリアパークでのフィナーレの後、「市民の方たちがみんな、すごくうれしそうな顔をしていた。あれだけの人が本当に喜んでくれているのを見て、初めてチームとしてすごいことをしたんだと実感した」と話し、奇跡の優勝の喜びをかみしめた。

ブックメーカーの驚がくと後悔の大きさ

さて、本題の「5000-1」である。今季のレスター優勝に英国のブックメーカー(賭けや)がつけた5001倍というオッズは日本でも話題となり、奇跡の優勝の尺度として繰り返し使われたと聞いている。しかし、英国からその報道を見ると、本国での実感は伝わっていないように思える。

例えば、日本のあるテレビ番組では「ネッシーが実在するというオッズが501倍」、「エルビス・プレスリーが現在も在命していれば2001倍」という英ブックメーカーによる破天荒なオッズが紹介され、「レスターの倍率はそれらのありえないとされる賭けのオッズよりもはるかに大きいのです」と解説していた。

プレミアリーグでのレスター優勝を伝える3日付の英各紙=共同

プレミアリーグでのレスター優勝を伝える3日付の英各紙=共同

この説明でも、レスター優勝のオッズのでたらめさは何となくわかるが、この程度ではやはり理解が浅すぎて、英ブックメーカーの驚がくと後悔の大きさを伝え切っていない。

まず初めにはっきりさせておかなくてはならないのは、このオッズは「ブックメーカー自身がつけたものである」ということだ。

つまり「プレミアリーグの優勝争い」という賭けに集まった賭け金の総額から割り出された倍率ではなく、ブックメーカーが独自につくったものなのだ。

もちろん、彼らにはオッズをつくるための優れた情報収集能力があり、ノウハウがある。胴元というのは、どこの国でも決して損はしない仕組みになっているものだ。英国内でもブックメーカーといえば、人にギャンブルをけしかけ、その生き血を吸う悪魔のような存在ともいわれる。

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