2018年12月16日(日)

曽和利光の就活相談室 「学歴フィルター」まだ存在すると思っていますか

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2016/5/17 6:30
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 リクルート、ライフネット生命などの人事責任者として20年以上、累計で2万人を超える就活生を面接してきた「プロ人事」、曽和利光さん。「学生は、根拠のない思い込みで失敗している」という曽和さんが、面接官の本音を語ります。第11回は就活生がもっとも気になる「学歴フィルター」についてです。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

「学歴フィルター」という言葉があります。企業側が大学名を使って学生をふるいに掛けるようなことを指しますね。今回はもう少しこの言葉について掘り下げてみます。果たして学歴フィルターは厳然として存在するのか。「ある」という感覚を持っている学生も少なくないでしょうが、実はその感覚はかなり一面的で、むしろ幻想に近い部分さえあると思います。

■「分母」そのものが上位校偏重

「そうはいっても、人気企業の内定を得ているのは有名大学の学生ばかりではないか」「やはり大学名に基づいて採否を決めているのではないか」と思いますか? これまでも触れてきましたが、採用活動の費用対効果を意識する企業側としては、リクルーターの派遣や説明会の案内などで、すべての学生に平等にアプローチできないのは事実です。短期決戦となった今年の就活戦線では、企業側もリクルーターの活用を増やし、結果的にこの「不平等感」が高まっている面もあるでしょう。それでも、大学名で採否を決めるような差別は、ほとんどないと断言できます。

多くの企業の人事担当者に共通する本音があります。「いろんな大学の学生を採りたい」「ふたを開けたら『早稲田・慶応』ばかりでは困る」。総合商社や大手電機メーカーなど、人気企業といわれる企業でも異口同音です。各社とも東京に限らず、地方の大学にも食指を伸ばしていますよね。昨春の北陸新幹線の開通により、石川県あたりで説明会を開くケースはぐっと増えています。

なぜそんな本音に反して、企業が学歴フィルターで上位校の学生のみ選別しているようにみえるのでしょうか。特に大手企業・人気企業の場合、そんな風に思われがちです。そうした企業についていうと、就活生のうち上位校の学生が占める割合がかなり高いことが大きな理由といえます。一部上場企業の募集枠はおおむね10万人の規模ですが、いわゆる旧帝大や早慶、上智大学といった有名私大の就活生だけで、3万人ぐらいには達してしまいます。それらに次ぐレベルの上位校まであわせれば、一部上場企業の採用人数のうち相当程度を占めることになります。

学生の人数を考えたとき、東京大学や早慶上智を頂点として下位校に向けて裾野が広がるピラミッドを想像してしまいがちですが、実際は「上半身」のほうが重い構造になっています。国立大の学生では、東大の人数がいちばん多いですよね。結果として、「上位校ばっかり」「東大だらけ」といった見た目になりやすいわけです。背景に就活生の人数の差、いわば「分母」の差があることは無視できないと思います。もっとも、かつては確かに大学名によって選別していた時代もあったので、その残像が幻想として残っている面はあるかもしれません。

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