2019年2月20日(水)

留学生が斬る ここがヘンだよ日本のシューカツ

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2016/5/12 6:30
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企業が人材のダイバーシティー(多様化)を重視しはじめ、外国人留学生に対して就活市場での引き合いが強まっている。日本人の就活生にとっては強力なライバルの登場だ。ただ、国内全体の新卒学生の就職率が2016年卒で9割を超えているのに対し、外国人留学生の日本での就職率は3割にとどまるという事実もある。今回、就活探偵団がその真相を探る中で、日本の就活のいびつな構図も見えてきた。

■過去10年で最高

法務省によると、14年に学生ビザから就労ビザに切り替えた外国人留学生の数は過去10年で最高となった。人事コンサルタントのディスコの調査では16年度の採用活動で外国人留学生を採用する予定と答えた企業は全体の57%を占めた。売り手市場と言われる今年の就活戦線、向上意識が高く、語学にもたけた外国人留学生は企業の間でも引く手あまただ。まさに「黒船襲来」。現役の日本人の就活生もうかうかしていられない。

早大4年で就職活動中のジョン・ハリンさん(左)とムン・ミンギョンさん

早大4年で就職活動中のジョン・ハリンさん(左)とムン・ミンギョンさん

早稲田大学国際教養学部に通う韓国系のムン・ミンギョンさん(22)とジョン・ハリンさん(22)はいずれも日本に拠点を置く外資系企業への就職活動を始めたばかり。2人とも日本語、英語、韓国語を使いこなし、ムンさんは既に広告系コンサル会社への内定を取り付けているという。「自分のポテンシャルを出せる会社で仕事をしたい」(ムンさん)「日本を中心に考えているが、香港やシンガポールの会社も視野に入れたい」(ジョンさん)と、今後も積極的に就活を続けていく考えだ。

スウェーデン出身で大阪大4年のラムステット・アントーニアさん(24)は幼い頃から日本のアニメや漫画に興味を持ち、母国では日本文化会の会長も務めた根っからの日本通だ。現在は就職活動の真っ最中で、日本語やスウェーデン語に加え、英語やドイツ語まで使いこなす。「国際的な懸け橋になりたい」と自慢の語学力を駆使して、大企業から中小企業まで幅広く活動している。

ラムステット・アントーニアさんは、日本語、スウェーデン語、英語、ドイツ語を就活の武器に幅広く活動

ラムステット・アントーニアさんは、日本語、スウェーデン語、英語、ドイツ語を就活の武器に幅広く活動

曾オスティンさん(24)の場合、高校卒業後、兵役を終えるまでシンガポールで育った。中学校時代から日本語を勉強し、日本に強い興味を持っていたことから来日し、現在は東大の4年生だ。3年生の時に友人の紹介でインターンした人材系ベンチャーが気に入り、就活は早々に切り上げてその会社から内定をもらった。

留学生の受け入れに積極的なことで知られる立命館アジア太平洋大学(APU)の太田猛事務局次長は「年度にもよるが600人程度の外国人留学生が卒業していて、3分の1は日本で就職する」という。

企業側も留学生のアプローチに応えている。太田氏は、「かつては海外に進出したい企業がピンポイントで採用することが多かったが、今では、日本での営業や経営企画など、通常の日本人と同じ枠で採用されるようになった」と話す。今年4月に新入社員の2割に当たる27人の外国人を採用したデロイトトーマツコンサルティングの和田淳執行役員は「アウェーの環境で戦える精神を持ったグローバル人材を必要としている」と話す。

■就活のガラパゴスぶりあらわ

しかし、外国人の採用は全体としては増えているものの、必ずしも広き門ではないことも事実だ。経済産業省などの調査では、留学生の7割が日本での就職を希望しているのに対して、実際に就職できている人は3割にすぎない。最大の理由は日本語という高い壁だ。ビジネスレベルの高い水準の日本語を使いこなすのは簡単ではない。デロイトトーマツの和田氏も「本当に優秀だからと言う理由で外国人を語学力に関係なく採用していた時期もあったが、正直日本語ができないと厳しいという現実があった」と振り返る。

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