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勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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Jリーグ指導者に新しい波 清新なエネルギー発散

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2016/5/11 6:30
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バルバリッチ監督の後任として昨年7月からJ2の札幌の指揮を執る四方田修平監督もユースからトップチームの監督に転じた口である。ちなみに同監督は加茂周、岡田武史の両氏が日本代表監督だったころには代表チームのスカウティングを担当していた。

選手やチーム伸ばす視点を外さず

昨季途中でトニーニョ・セレーゾ監督からチームを引き継いだ鹿島の石井正忠監督も現役を退いた後、鹿島のユースでコーチ業を始め、フィジカルコーチの経験を積んで今がある。彼らをみていると、Jリーグの誕生から二十数年がたち、ようやく各クラブは優秀な監督を内製化できるようになったのだなという感慨を覚える。

育成部門で若い選手を育てた経験のある監督たちには大胆な采配をするという共通項がある気がする。総じて選手交代のカードの切り方も早いようだ。いきなりトップチームの監督になった人はその点、どうも主力への気遣いなどがあって交代が遅くなりがちだ。

育成経験のある監督は選手やチームを伸ばす視点を常に外さない。大人の選手と違って少年たちは頭が凝り固まっていないから、監督が「こうやるぞ」といえば素直にいろいろとチャレンジしてくれる。そういう試行錯誤から得たものがたくさんあるように思う。

育成の経験を積んでからトップの監督になる人間が増えてきたのは歓迎すべきことと個人的には思っている。私も代表レベルではあるが、ユース、五輪代表と順番にチームの面倒をみながら、若い選手たちと一緒に成長できた面が大いにある。育成段階の若い選手と一緒に過ごす時間の意義深さはカネでは買えない貴重なものだ。大成の出発点ともいえる段階から関わることは、選手を見る目を大いに養ってくれるし、そこで培われた人間関係は一生モノといえる濃密なものになる。

うれしいのは、そうやって私が関わった選手たちの中から、同じように指導者の道を歩み出した人間がいることだ。トルシエ監督時代に日本代表で苦楽をともにした宮本恒靖はG大阪の、森岡隆三は京都で、ユースチームの監督になっている。磐田の黄金時代を最終ラインで支えた田中誠も古巣でユースの監督を務めている。育成のプロになるにしても、トップの監督として大成を目指すにしても賢明な選択だろう。

選手としてワールドカップに出たような人材でも指導者となると苦労する。現役時代の名声ゆえに注目され、それが余計なプレッシャーになることもあるだろう。しかし、失敗を恐れて小さくまとまるより、どんどん大胆にチャレンジをして失敗からも多くを学んでほしいと思う。

トルさん(トルシエ監督)はよくチームのことを「ラボ(実験室)」と呼んだ。その伝でいけば、ユースチームもラボであり、成績的には多少の失敗は許されるから指導者もチャレンジしやすい環境にあると思っている。そこでもまれながら、やがて宮本や森岡や田中が、自分が育てた選手と一緒にトップチームで戦える時代がきたらどんなに素晴らしいだろう。

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