勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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Jリーグ指導者に新しい波 清新なエネルギー発散

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2016/5/11 6:30
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Jリーグの監督やコーチに新しい波を感じる。彼らの多くは現役時代にJリーガーとしてプレーし、いろいろなタイプの指導者の下で経験を積んだ。引退後は育成世代のコーチをしたり、トップチームで優れた指揮官の薫陶を受けたりしながら修業に励んできた。その成果をいま、惜しみなく披露する彼らの清新なエネルギーに触れると、日本サッカーの未来まで明るく感じる。

下平監督は柏というクラブの裏も表も知り尽くしているようだ=共同

下平監督は柏というクラブの裏も表も知り尽くしているようだ=共同

Jリーグ1部(J1)で私が今、最も注目しているチームが柏だ。5月8日の川崎戦に負けるまで5連勝の快進撃を続けていた。試合に活気があるのも好ましい。

下平・柏監督、チーム立て直す

チームを率いる下平隆宏監督は今季開幕後に前監督の不振を受けて緊急登板となった。前任のミルトン・メンデス氏は科学的な指導ができる監督としてブラジルから鳴り物入りで迎えられたが、明治安田生命J1リーグで開幕から浦和、大宮に連敗。3戦目(3月12日)で磐田に引き分けたところで「家族の健康上の問題」を理由に突然帰国してしまった。アシスタントコーチから急きょ昇格した下平監督は最初の新潟、鳥栖との2試合は引き分けたものの、その後はFC東京、G大阪、鹿島、神戸、甲府に5連続完封勝利。ヤマザキナビスコカップで横浜M、川崎から挙げた白星も加えると公式戦7連勝とチームをすっかり立て直した。

5連勝の中で特に感銘を受けたのはアウェーに乗り込んで鹿島に2-0で快勝した4月24日のJ1第8節だった。柏は大黒柱のボランチ、大谷秀和がケガで先発できない苦しい状況。柏の攻めは、ビルドアップする際に大谷が最終ラインまで下りてきて組み立ての起点になることから始まるだけに、かなりのマイナス要因と思われた。

ここで下平監督が取ったのはベテランの鎌田次郎を起用し、20歳の中谷進之介、増嶋竜也と3バックを組ませる策だった。3バックの中で鎌田は右のストッパーを務めたが、相手にボールが渡ると柏は左のウイングバックの中山雄太がすっと最終ラインに下りてきて4バックに転じる。すると鎌田はトコロテン式に押し出されて右のサイドバックに早変わり。鹿島の左サイドにはスピードとテクニックを兼備したカイオという逸材がいるのだが、右サイドバックに変身した鎌田は見事にこのうるさいアタッカーを封じ込んでみせた。

スライド方式で3バックと4バックを併用する手はカイオ対策に成果をあげただけにとどまらなかった。もう一つの成果は右サイドのMF伊東純也の守備の負担を軽減し、彼の武器である突破力をいかんなく引き出したことだった。

今季、甲府から移籍してきた伊東は卓越したスピードを武器にドリブルで敵陣を切り裂く才に恵まれている。そのスピードを生かすためにメンデス監督は右サイドバックにコンバートしたが、本職でない守備は正直なところ心もとないレベルにある。そこが自分でも不安な伊東に、いつのものようにサイドバックで使ってカイオと対峙させていたら守備に頭がいっぱいで攻撃参加どころではなかっただろう。

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