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巨人・菅野、「圧倒」掲げ進化 プレミアの敗北感が糧

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2016/5/10 6:30
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開幕ダッシュを決めたとはいえ、故障者続出で先発の駒不足が露呈して失速気味の巨人。苦しい台所事情のなか、菅野が文字通りの「一本柱」としてチームを支えている。有無をいわさず打者を抑え込む決意を込め、「圧倒」を掲げる今季。その仰々しいスローガンも何ら違和感のない防御率が1にも満たない快投を続ける進化の源には、己の力不足を知り、球界のエースたちから受けた刺激があった。

捕手・相川「一人だけ別世界にいる感じ」

菅野は防御率が1にも満たない快投を続ける=共同

菅野は防御率が1にも満たない快投を続ける=共同

春季キャンプがそぞろ立ち上がった2月上旬、初めてブルペンに入った菅野の球を受けた捕手の相川が驚いていた。「スピンの量が間違いなく上がっている。スライダーのキレ、曲がりも2、3段階上がり、一人だけ別世界にいる感じ」。オープン戦でも平均で2~3キロは増しただろう150キロ超の速球を連発。持ち味の制球や投球術はそのままに、球威を増した直球は「今年の菅野は相当手ごわい」と他球団に思わせただろう。「抜けたなと思う球でもスピンがかかっていく。球を離れていく感覚が昨年と違う」。本人の想定も超えた直球は、昨季のシーズン後に初めて踏んだ国際舞台「プレミア12」で味わった挫折を糧に手に入れたものだ。

1次ラウンドの米国戦でメジャーリーガーがいない迫力不足の打線から一発も浴びて4回2失点。3位決定戦のメキシコ戦も3回1失点と、「情けない投球だった」と振り返る。だが、それ以上に心を揺さぶったのは、同じユニホームを着た面々だった。160キロの直球を連発し宿敵韓国を2試合ともねじ伏せた大谷(日本ハム)や決勝トーナメントで悠然と失点ゼロを続ける前田(現ドジャース)――。間近で球界のエース格に接し、「チーム(巨人)にいればローテーションの中心にいるが、代表に入れば自分よりも力のある投手がいる」。

大会での自身の不振も「その投手たちを前に自分の力以上のものを願ってみたり、出そうとしたりして力んでしまった」ことにあった。菅野は大会後にそのとき感じた"敗北感"をこう語った。伯父は原辰徳前監督で、自身も同じ東海大相模高から東海大を経てドラフト1位で巨人に入団。まさに野球エリートだが、溺れることなく、自分の立ち位置をてらいなく受け入れられる素直さも、投げる才能と同じくらい恵まれた天分なのだろう。「自分より上の投手はたくさんいるぞと感じてもっともっと高みを目指してやってきた」と絶対的な力を求めて臨んだオフの自主トレは、重みの違うものになった。

自主トレで握力強化を最重点課題に

自主トレ先のハワイでは指先で球をはじく力をつけるための握力強化を最重点課題に据え、新武器として、打者の手元で鋭く沈み込む「ワンシーム」も覚えた。前者は文字通り打者を圧倒する直球の球威を手に入れるため。後者は直球に近い速度で小さく曲がり、日本代表の強化試合でバッテリーを組んだヤクルトの中村が「打ち気にはやる相手を1球で仕留められる球」と評したように、ピンチで打者を引っかけさせてゴロを打たせるため。まさに今季の絶対的な投球の礎となっているもので、その成果はヤクルトとの開幕戦で表れた。

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