2019年4月25日(木)

伊藤忠、就活生に社員の情報公開 会いたい人選んで

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2016/4/28 6:30
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OB・OG訪問は就職活動の重要なステップだが、意中の人に巡り会うのは難しい。伊藤忠商事が、社員の職種や所属部署などの情報を学生向けに公開していくことが就活探偵団の取材でわかった。すでに3100人の登録を済ませている。2017年春卒の就職活動は、実質3カ月の短期決戦。「会いたい社員に会える」ようにして社風や社員への共感を持ってもらう狙いがある。

情報を公開したOBに交流を申し込める(VISITS OBの画面イメージ)

情報を公開したOBに交流を申し込める(VISITS OBの画面イメージ)

■サイト上で面会の予約

「就活生がOB・OG訪問をするときに、興味のある部署や、話を聞いてみたい地位の社員にアクセスしやすくする」。伊藤忠の人事・総務部採用・人材マネジメント室の甲斐元和室長に質問をぶつけると、こう回答があった。

同社はOB訪問支援のビジッツワークス(東京・港)が昨年12月に運用を始めたサイト「VISITS OB」を使って、3月から約3700人いる国内社員の登録を始め、約3100人の登録を終えている。その中から、入社15年目以内の若手・中堅社員を中心に1100人規模のプロフィルをサイト上で公開することを決めている。プロフィルは個人情報が特定できないように配慮されているが、学生が社員の学歴や職歴を閲覧し、「この人と会ってみたい」と考えれば、サイト上で面会の予約などのやりとりが可能になる。

このサイトで社員が公開する情報には、「学生時代に打ち込んだこと」「今後の夢や目標」「学生へのメッセージ」なども盛り込まれる。学生にとっては社員の人物像を立体的に把握し、「こんな先輩がこんな考えを持って活躍しているのか」などと共感しやすい社員を選んで訪問できる。

甲斐室長は「社員と学生との共感を通じて会社の魅力を正しく伝えるのがねらい」と説明する。同社が内定者にヒアリングしたところ、社員との接点を持つことが、学生の志望度を高める上で最も重要な要素だとわかったという。一方で、これまでは、OB訪問は個々の社員に任せていたため、「さまざまな職場で、社員がどんな思いで働いているかを学生が把握するのは難しかった」(甲斐室長)。

今年の採用戦線では、企業の広報活動期間は昨年より2カ月短くなった。社風や社員の考え方を学生にしっかり把握してもらい、ミスマッチを減らすためにも、社員のプロフィルの公開が有効だと判断してサイトの活用を決めた。

OB・OG訪問で意中の人に巡り会うのは難しい

OB・OG訪問で意中の人に巡り会うのは難しい

情報公開を求められる社員側には当初戸惑いもあったようだが、現在は好意的な反応が増えている。「昨年までは会うことができないタイプの学生と接点を持つことができた」などといった手応えが広まりつつあるという。伊藤忠はこのような取り組みの効果を検証し、どこまで登録情報を公開していくかなどの方針を決める。国内の全社員に加え、海外勤務の社員にも対象を広げることも検討するとしている。

「VISITS OB」には三井住友銀行、電通、アクセンチュアなど、官公庁や団体も含む約150社が参加し、現在までに約1万2000人の学生が各社の社員とやりとりしている。

OB訪問を仲立ちするネットサービスはすでにあり、フェイスブックなどの交流サイト(SNS)でも自分の先輩を探すことは可能だ。ただ、ビジッツワークスの松本勝社長は、「会社としてどの社員がどの学生とやりとりをしているかを把握しにくい課題がある」と指摘する。

会社側のメリットも大きい。学生や社員の活動状況が把握でき、コーヒー代などの経費精算も一括でできる。参加企業数が増えているのは、それだけ企業側がOB訪問の推進に本気で取り組み始めた証しともいえる。

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