2017年12月15日(金)

地震ルポ 誰も報道しなかった「俵山トンネル崩落現場」

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2016/4/28 6:30
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日経コンストラクション

 マグニチュード(M)7.3を記録した熊本地震の本震から1週間がたった2016年4月23日、筆者は日経コンストラクションの取材班第2陣として、熊本県西原村にいた。構造物被害の全貌が次第に明らかになるなか、一つだけ一般の報道では確認できない被害情報があった。西原村にある俵山トンネルの「崩落」だ。

熊本県西原村にある県道28号の俵山トンネル。写真は熊本市方面側の坑口(写真:日経コンストラクション)

熊本県西原村にある県道28号の俵山トンネル。写真は熊本市方面側の坑口(写真:日経コンストラクション)

 本震後、阿蘇大橋の崩落と同じく、俵山トンネルの被害も何度か耳にしたが、現場の状況を映像や写真で見る機会はなかった。崩落と一口に言っても、被害状況は様々だ。覆工コンクリートの表面がはく落したのか、トンネルが圧壊したのか、現地入り当初は詳細が全く分からなかった。

 自分の目で被害状況を確かめるために、4月23日は早朝から俵山トンネルのある県道28号へ向かった。トンネルのかなり手前で車は通行止めになっていることは、事前の情報で明らかになっていた。

国土交通省のデータに日経コンストラクションが加筆

国土交通省のデータに日経コンストラクションが加筆

 県道28号の車両通行止め付近に到着してからスマートフォンで調べると、俵山トンネルまでは6km以上ある。「往復12kmか…」。県道28号は阿蘇の外輪山を越えて南阿蘇村へ抜けるルートのため、登り勾配だ。かなり骨の折れる“登山”になるが、ここまで来たら行くしかない。覚悟を決めて、午前7時20分に俵山トンネルを目指して出発した。

県道28号の通行止めの場所。4月23日撮影(写真:日経コンストラクション)

県道28号の通行止めの場所。4月23日撮影(写真:日経コンストラクション)

■引き返してくる報道関係者

 歩き始めてすぐに、前方からこちらに戻って来る3人組の姿を確認した。報道関係者と見られる彼らに道の先の様子を聞いたところ、「橋と道路の間が大きく開いている場所がある。危険だから引き返してきた」と答えた。

 俵山トンネルの被害状況も聞いてみたが、「我々も気になっているが、分からない」という言葉を残して去っていった。

 県道28号は、構造物の被害が集中する道路として、既に専門家が指摘していた。その理由の一つが、付近を走る布田川断層帯だ。産業技術総合研究所の活断層データベースによると、県道28号に沿うように布田川断層帯が走っている。土木学会の緊急調査でも、県道28号沿いの橋梁被害が数多く報告されていた。

 出会った報道関係者の指摘を受け、「俵山トンネルまで本当にたどり着けるのか?」と、出ばなから不安が募る道行きとなった。

産業技術総合研究所の活断層データベースに日経コンストラクションが加筆

産業技術総合研究所の活断層データベースに日経コンストラクションが加筆

 彼らと別れてからしばらく歩くと、「道路と橋の間に大きな隙間が生じている場所」にたどり着いた。大切畑大橋だった。

大切畑大橋のジョイント部(写真:日経コンストラクション)

大切畑大橋のジョイント部(写真:日経コンストラクション)

 ジョイント部に段差が生じ、桁が大きく揺すられていた。桁の荷重を橋台に円滑に伝えるゴム支承が破断している。それでも桁が落下しなかったのは、落橋防止装置が働いていたからだった。

落橋防止装置が効いて桁の落下は免れた(写真:日経コンストラクション)

落橋防止装置が効いて桁の落下は免れた(写真:日経コンストラクション)

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