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サンウルブズ、歴史的な初勝利の陰にあったもの

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2016/4/28 6:30
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スーパーラグビーで日本のサンウルブズが23日、初勝利を挙げた。対戦相手であるジャガーズ(アルゼンチン)戦の終盤は、我慢比べのような展開になった。両チームとも長い遠征や連戦の疲労があったからである。プレーが止まるたび、多くの選手が筋肉をストレッチしたり、体のどこかを痛めたりしていた。

突進する堀江翔太(右)。チームは熊本地震で「被災地へ思いを届ける」という意義を見いだして戦った=共同

突進する堀江翔太(右)。チームは熊本地震で「被災地へ思いを届ける」という意義を見いだして戦った=共同

規律、最後まで乱れず

それでも、サンウルブズの規律は最後まで乱れなかった。反則数はジャガーズの11に対してサンウルブズは6、防御ラインも変に1人が飛び出したりせず、組織的に守ることができていた。

象徴的だったのは、1点リードで迎えた後半34分、自陣での相手ラインアウト。モールを組もうとした相手のボールにフランカー安藤泰洋らがうまく絡んでボールを奪い、自陣からの脱出に成功。要所での両チームの集中力の差が出たプレーだった。

具体的なプレーの観点から見ると、一番の勝因はスクラムの安定。これまでの試合では崩されていたが、この日はマイボールを全て確保することができた。スクラムからの1次攻撃でバックスが2本のトライを奪うことができたのも、FWの奮闘といえる

リーグ最低のボール獲得率だったラインアウトも、大事なところで獲得できた。事前の予想としては、サンウルブズは選手が整列するテンポの速さで勝負をするのかと思っていたが、意外にゆっくり整列していた。自分達のルーティーンをこれまで以上に意識したことが好結果に結びついた。

ボールを確保した後の攻撃の組み立ても奏功していた。これまでの試合と比べ、1次攻撃からのキックを多用。1週間前のチーターズ(南アフリカ)戦などの反省を踏まえ、とにかく敵陣で試合をしようという意図がはっきり見えた。

敵陣に入ると、FWだけでなくバックスの選手もSHから直接パスを受けられるような浅い位置取りで攻めていた。ボールを後ろに下げず、とにかく前に出る攻撃の形はサンウルブズの強みで、この日も非常に効果的だった。

「被災地へ思いを」が戦う意義に

チーターズ戦ではリーグワースト2位タイの92失点での大敗。

サンウルブズにとって、これほどの大量失点は初めてだった。それから僅か1週間。精神的なショックを引きずらず、ひとつにまとまった戦いができた背景には、2つの理由がある。1つ目は熊本、大分での震災に対する思い。「日本代表の強化」という目的で始まったスーパーラグビーへの参戦だが、立ち上げの時に様々な障害にぶつかり、チーム編成に苦労した。開幕してからも困難は続き、初のプロリーグという未体験の環境の中で、選手は7連敗という出口の見えない苦境に陥った。チームの中では、何のために戦っているのかという意義が見いだせないこともあったのではないか。

そんな中、地震の直後に行われたチーターズ戦でふがいない結果に終わってしまった。「日本の観客の前で戦うジャガーズ戦こそ、被災地へ思いを届けられるような試合をしよう」と、チーム全体が戦う意義が明確になった。

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