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南米クラブ王者目指しヤマ場へ 16強出そろう

サッカージャーナリスト 沢田啓明

サッカーの南米クラブ王者の座を争うコパ・リベルタドーレス・ダ・アメリカの1次リーグが21日に終わり、ベスト16が出そろった。最高の成績を挙げたのは、アトレティコ・ナシオナル(コロンビア)。元ウルグアイ代表FWフォルラン(前C大阪)が所属するぺニャロール(ウルグアイ)など強豪がひしめくグループで圧倒的な強さを発揮し、5連勝して早々と首位突破を決めた。

コロンビア、代表もクラブも急速に力

中盤の選手が豊富な運動量で相手ボールを刈り取り、高さと強さを兼備したエンリケス(33)とサンチェス(19)の両CBがゴール前で強固な壁となって、6試合で無失点。攻撃はコロンビア代表のボカネグラらSBが積極的に攻め上がり、驚異的なスピードを持つ19歳のモレーノが右から、パワフルなイバルボ(いずれもコロンビア代表)が左から仕掛けて決定機をつくりだし、屈強なCFカポーテらが確実に決める。

圧巻だったのは、3連勝して迎えたアウェーでのぺニャロール戦。前半から攻守に相手を圧倒し、カポーテ、オカネグラらが次々とゴールを決めて4-0と大勝。地元サポーターを沈黙させた。

近年、コロンビアは代表が急速に力をつけてきているが、クラブレベルでも南米のトップレベルに近づいている。ただし、これまでコロンビア選手は実力がありながら精神的なたくましさに欠け、代表もクラブも大舞台で結果を残せないことが多かった。この大会でも過去、コロンビアのクラブが優勝したのは1989年のアトレティコ・ナシオナルと2004年のオンセ・カルダスの2度だけ。決勝トーナメント1回戦以降、試合巧者のアルゼンチンやブラジルのクラブ相手に厳しい試合を勝ち抜けるかどうかに注目が集まる。

ボカ・ジュニアーズ、連携次第で栄冠も

過去6回優勝しているアルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズは、当初は攻撃陣が不調で3試合連続で引き分けたが、その後、3連勝して勝ち上がった。

4-3-3の布陣で、元アルゼンチン代表ボランチのガゴを中心にコンパクトに守り、攻撃は長く欧州で活躍したアルゼンチン代表テベスがチャンスメークとフィニッシュの一人二役を担う。中盤の深い位置で攻守に貢献する19歳のアドリアン・クーバスら優秀な若手も出てきており、今後、攻撃陣がさらに連携を深めればタイトルが狙える。

昨年のブラジル王者コリンチャンスはその後、ブラジル代表2人を含むレギュラー6人が流出し、戦力低下が予想されていた。しかし、知将チッチはレギュラーが大幅に入れ替わっても昨年と同様、堅守と素早い攻守の切り替えをチームに浸透させ、4勝1分1敗でグループを首位で突破した。

4-1-4-1のフォーメーションで、中盤の底でブルーノ・エンリケが強固な壁となり、ブラジル代表ボランチのエリアスが攻守に奮闘する。攻撃的MFギリェルメら中堅が成長しているが、泣きどころは絶対的なストライカーがいないこと。元ブラジル代表アンドレ、23歳のパラグアイ代表アンヘル・ロメロらに期待がかかる。

メキシコの強豪プーマスは豊富な運動量をベースに、ショートパスを小気味よくつないで攻める。右足からの強シュートが持ち味のソサの5得点を筆頭に、1次リーグで実に8人がゴールを陥れ、合計17得点は参加チーム中最多。ただし、守備陣は小柄な選手が多く、空中戦に不安がある。

13年のこの大会の覇者アトレチコ・ミネイロ(ブラジル)は、4勝1分1敗でグループを首位で勝ち上がった。エクアドル代表CBエラーソ、24歳の攻撃的MFユーリら新戦力がチームに溶け込みつつある。選手層が薄いのが気になるが、若手、中堅の成長次第では上位を狙える。

試合後、興奮した選手が乱闘騒ぎ

過去3度優勝しているブラジルの名門サンパウロは1次リーグ最終節で辛うじて突破を決めた。これが南米ならではの実にドラマチックな試合だった。

ボリビアのザ・ストロンゲストとアウェーで対戦し、引き分け以上ならベスト16入りだが、負けたらザ・ストロンゲストが勝ち上がるという大一番。サンパウロにとって最大の障害は、対戦相手もさることながら試合会場があるラパスの海抜3640メートルという標高にあった。この高さでは酸素が平地より約3分の1少なくなり、ビジターチームは体力の限界を試される。

29分にザ・ストロンゲストが先制したが、サンパウロも前半終了間際に追いつく。しかし、後半に入るとサンパウロ選手のスタミナが枯渇し、ピッチに倒れる選手が続出した。75分を過ぎると、攻撃どころかパスをつなぐことすらできなくなり、ボールを奪っても前へ大きく蹴り返すだけ、という非常事態となった。

何とか90分を戦い終えたが、追加タイムが5分。サンパウロの選手はもう全く動けず、GKデニスは時間稼ぎを繰り返す。すると93分、デニスが2枚目のイエローカードを受けて退場。ところが、サンパウロはすでに交代枠を使い切っており、第二GKを投入できない。仕方なく、CBマイコンがGKを務めることになった。

異様な雰囲気の中、ザ・ストロンゲストはGKを含む全員が攻撃し、敵のゴール前へ殺到する。これを急造GKが必死の形相で跳ね返す。結局、サンパウロは合計8分の追加タイムを守り切り、引き分けて1次リーグ突破を達成した。

過剰な熱情が混乱招き、感動も生む

さらに試合後、興奮した両チームの選手が乱闘を繰り広げ、サンパウロのCFカジェーリが退場処分を受けた。これほど壮絶で混乱に満ちた試合は、南米以外の地域ではまず起こりえないだろう。

1次リーグを勝ち上がった16クラブのうち、実に7クラブが優勝を経験している。アトレティコ・ナシオナル―ウラカン(アルゼンチン)、ボカ・ジュニアーズ―セーロ・ポルテーニョ(パラグアイ)、コリンチャンス―ナシオナル(ウルグアイ)、リバープレート―インデペンディエンテ・デル・バージェ(エクアドル)、アトレティコ・ミネイロ―ラシン(アルゼンチン)などが注目カードだ。

昨年は決勝トーナメント1回戦でアルゼンチンの二大クラブであるリバープレートとボカ・ジュニアーズが激突し、第2節のハーフタイムにボカ・ジュニアーズのサポーターがリバープレートの選手の通路に液状の有害物質を放射して傷害を負わせ、ボカ・ジュニアーズが失格処分を受けた。

南米では何が起きるかわからない。情熱的な人々の過剰な熱情が予想もしなかったような混乱を招く一方で、とてつもない興奮や感動も生む。コパ・リベルタドーレスはここからが佳境だ。

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