ハウステンボス、次はロボ「王国」 接客や調理に200台 - 日本経済新聞
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ハウステンボス、次はロボ「王国」 接客や調理に200台

エイチ・アイ・エス(HIS)子会社のハウステンボス(長崎県佐世保市)は21日、ロボットが主役の「王国」を7月に開くと発表した。来場者が200台以上のロボットと遊べるだけでなく、デンソーなど20社強と最新ロボットを開発する実験場として活用。接客や掃除、荷物運びを担わせながら人手のかからないサービスを実現する。旅行、航空の分野で業界に風穴を開けてきた沢田秀雄社長が、今度はロボットで革新を起こせるか。

沢田社長は同日の記者会見で「王国では続々とロボットが登場し、その技術が世界で使われる時代が来る」と述べた。7月からお好み焼きを焼くシェフ、10種類以上のカクテルをつくるバーテンダー、配膳係といったヒト型のロボットが園内で来場者を迎える。

ハウステンボス全体を楽しめる大人6500円の一日券があれば、一部を除きロボットたちと触れあえる。ロボットをつくって提供するのはデンソーや安川電機、シャープといった企業だ。

王国の中で一足早く動き出した施設が、受付や客の案内、荷物の運搬をロボットに任せたホテル。昨夏の開業時に約30人いたスタッフをロボットの導入により半分以下の10人強まで減らし、人件費を削減した。

階段を上れないなど制約はあるが「重い荷物を動かすときも安定していてさすが」と働くロボットを食い入るように見つめる客もいる。園内の他のホテルより安い1泊2人で1万5200円からという料金も受けて稼働率は3月末まで約9割をキープしており好調だ。3月に開業した2棟目を合わせて建設に20数億円を投じた。

王国ではすでに参画を決めた国内外20社強以外にも、ロボットを提供する新たな企業を募っている。参画企業はロボットが来場者と接するなかで得たノウハウや課題を、開発や普及のために生かせる。

そのノウハウはハウステンボスにも蓄積する。今後「世界の企業を巻き込んでロボット開発を進めていく」と述べる沢田社長は、ロボット開発を新事業として育てていく考えがある。

価格に対するニーズをいち早くとらえて、格安航空券や格安航空のビジネスを立ち上げた、日本の代表的な起業家である沢田社長。今回ロボットに目をつけたのは米国の約半分という日本のサービス業の生産性の低さや人手不足に商機を見いだしたからだ。「低コストにするニーズは必ずある」とみており、ロボットが課題解決の突破口になるとの確信がある。

もちろん、これは長期戦になる。ハウステンボスは2015年9月期に経常利益100億円を達成し、海外旅行が低調な親会社、HISの利益の半分を稼ぐグループのけん引役。ロボットたちが新たな客を呼べるかどうかは沢田社長の「次の夢」の実現だけでなくHISの経営に大きな影響を及ぼす。(新沼大)

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