2019年4月20日(土)
トップ > 特集 > 関西発 > ビジネス > 記事

関西発

フォローする

11月6日の電子版のリニューアルに伴い、特集「関西発」は「地域」セクションに移りました。「関西発」のコンテンツは「地域」セクションの「関西」でご覧頂けます。

物流施設で人呼び込め(まちは語る)
兵庫・猪名川町、雇用最大1700人見込む 「新名神近く」立地PR

2016/4/16 15:00
保存
共有
印刷
その他

大阪、神戸のベッドタウンとして発展してきた兵庫県猪名川町が大規模な物流施設の誘致に乗り出した。これまでニュータウン開発に伴って人口が増えてきたが、町内に雇用を生み出して人口流入につなげる新たな試みだ。2016年度末の新名神高速道路開通をにらみ、新機軸を打ち出そうとしている。

■総事業費342億円

手つかずだった45ヘクタールの広大な町有地の山林で、ボーリング(掘削)による詳細な地質調査が進んでいる。物流施設開発大手のプロロジス(東京・千代田)が、緑豊かなこの地域に最新鋭施設を建設する方向となったからだ。計画では総事業費は342億円。17年度から造成工事を開始し、25年度に計5棟の施設がすべて完成する予定だ。

誘致の決め手となったのは交通インフラの充実だ。新名神が開通すれば、神戸―名古屋間が現在の名神ルートに比べて40分程度短縮され、約2時間でつながることになる。各地へのアクセスも向上する。プロロジスは「大阪市内への配送に加え、京都方面から広島方面まで西日本全域をカバーできる物流ハブを多様な事業者に提供する」と説明する。

町は2年前に「まちづくり推進室」を立ち上げ、ゼネコンやデベロッパーなどをしらみつぶしに回って最寄りのインターチェンジまで約2キロメートルという立地をPR。プロロジスとの交渉にこぎ着けた。福田長治町長(69)は「新名神開通にうまく乗らなければ町の発展はないと思った」と話す。背景にあるのは人口減少への危機感だ。

1970年に7000人だった猪名川町の人口は、日本生命保険や三菱地所などによるニュータウン開発とともに3万2000人まで伸びた。税収は安定し、99年から10年余りで市町村の数が半分近くに減った「平成の大合併」の時も、猪名川町は財政に余裕があったこともあって独立独歩の道を選んだ。

■宅地開発頭打ち

一時は人口6万人という目標を掲げるほどだったが、少子化や関西経済の停滞で新たなニュータウン開発は望めず、今は人口が頭打ちとなっている。今回誘致した地区も、もともとはゼネコンが地元住民から取得してゴルフ場や住宅地などへの展開を模索しながら実現せず、町に寄付してきた場所だ。

プロロジスの物流施設がすべて完成すると、建屋の固定資産税は2億円、そのほか土地の固定資産税や法人税の増加が見込まれる。雇用は1500~1700人程度発生する。そのうち、500人程度は町内からの雇用になる見通しだ。福田町長は「外から1000人が来てくれるのがうれしい」と話す。車や電車で大阪から40~50分の場所にありながら8割を山林が占め、豊かな自然が楽しめる。その魅力をアピールし人口増につなげるつもりだ。

地元の肝川自治会の仲間享三会長(62)も「周辺環境に配慮した工事になるか、静かさが保たれるかといった心配もあるが、猪名川町の活性化につながる以上は歓迎したい」と話す。町を覆う行き詰まり感の打破へ、期待は大きい。

町内にはもう一つ、日本生命がニュータウン開発をあきらめて町に寄付した大規模な土地がある。ここは文教地区と位置づけ、教育機関などの誘致を目指す。ニュータウン頼みの街づくりからの脱却へ、踏ん張りどころが続く。

(神戸支社 下前俊輔)

建築制限、柔軟な運用カギ 町の95%は「市街化調整区域」

猪名川町は町域の約95%が「市街化調整区域」に指定されている。乱開発を防ぐための措置だが、厳しい建築制限は地域の活力をそぐ要因にもなりかねない。そのため、弾力的な運用への手続きも定められている。

プロロジスの進出予定地も市街化調整区域内にあるが、町が地区計画を策定すればそれに従って土地利用ができるという仕組みを使い、開発への道筋をつけた。

町内には阪神地域最高峰の山頂にある天文台など見どころはあるが、開発制限もあって宿泊施設や飲食店が少なく、観光客を受け入れる体制が整っていない。福田町長は「自然の中にいろいろある町を目指す」としており、制限緩和措置を活用して地域活性化に取り組む考えだ。

関西発をMyニュースでまとめ読み
フォローする

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ

電子版トップ特集トップ


日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報