鈴木会長退任、創業家の影響力拡大か セブン&アイ
高収益のコンビニエンスストアモデルを一代で作り上げたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が同社を去るが、セブン―イレブン・ジャパンの収益力の根幹が即座に揺らぐとの見方は少ない。ただ総合スーパーなど不採算事業の立て直しは道半ばで、創業家の影響力拡大も予想される。
セブンイレブンは首都圏を中心に、全国1万8000店を展開し、商品開発力を支える専用工場を全国に160カ所持つ。毎年のように自前で1000店以上の新規出店の立地を掘り起こす強固な情報網がある。セブンイレブンの1日1店当たりの平均売り上げ(日販)は約66万円とローソンやファミリーマートなどのライバル会社に10万円以上の差をつけている。
そのセブンイレブンを中核とするセブン&アイは2005年9月に発足した。イトーヨーカ堂、そごう・西武、ニッセンホールディングスなどを傘下に持つ。コンビニから総合スーパー、百貨店、ファミリーレストランまで多様な流通グループとなった。
ただ、業績をけん引しているのはセブンイレブンやセブン銀行など一部にすぎない。特に近年M&A(合併・買収)で傘下に収めた企業などは連結業績の足を引っ張っているのが実情だ。
そんなグループ内格差を突いてきたのが「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントだ。昨年10月、セブン&アイの株式を取得したことが明らかとなった。祖業であるヨーカ堂やそごう・西武の切り離しなどを要求した。セブン&アイは3月8日にはヨーカ堂やそごう・西武のリストラ策をまとめ上げ、不採算事業の構造改革に着手したばかりだった。
鈴木会長が引退することで、今後は同社の経営戦略にセブン&アイの筆頭株主でヨーカ堂の創業家である伊藤家の影響が及びやすくなる。
コンビニはフランチャイズチェーン(FC)方式を採用しており、本部と加盟店オーナーの信頼関係が業容拡大に欠かせない。コンビニ事業の成長戦略と不採算事業のてこ入れを並行して進められるのかに注目が集まる。
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