首都圏の鉄道網、24事業「評価」 国交省が整備計画

2016/4/8 11:16
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交通政策審議会(国土交通相の諮問機関)の小委員会は7日、東京圏の鉄道網について2030年ごろの将来像を示す答申案をまとめた。1都3県で新線や延伸など計24事業が「意義のあるプロジェクト」とされ、地元自治体などから歓迎の声が上がった。ただ「需要や採算の十分な見極めが必要」と注文も付いており、各構想の実現までの道のりは長い。

答申は00年以来16年ぶりで、4月中に正式決定する。

答申案は東京都が提案していた都心と臨海地域を結ぶ地下鉄新線など8事業を「国際競争力の強化に役立つ」と評価。さらに東京・多摩地域の多摩都市モノレールの延伸路線に埼玉高速鉄道の延伸(浦和美園―岩槻―蓮田)や総武線・京葉線接続新線(新木場―市川塩浜付近―津田沼)、東急田園都市線の複々線化(溝の口―鷺沼)など16事業を「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に役立つ」と位置づけた。

それぞれの地元からは喜びの声が相次いだ。都内では、都心部―臨海部の地下鉄を検討してきた中央区の矢田美英区長が「大変喜ばしい」とコメントを発表。江東区の山崎孝明区長は区内を通る有楽町線の延伸が盛り込まれたことについて、建設基金の積み立てなど「長年の取り組みが前向きな位置づけにつながった」と強調。営業主体と想定する東京メトロや都と事業化に向けた調整を急ぐ考えを示した。

千葉県内では、県や沿線自治体が要望していたJR京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線の相互直通運転がリストに入った。直通が実現すれば新たに20路線と直接乗り換えが可能になるなど、利便性が高まるという。千葉市は「都心とのアクセスが向上することで、移住者や買い物客が増加する」(都市局)と期待する。

野田市の根本崇市長は地下鉄8号線の同市までの延伸が盛り込まれたことに「大変喜んでいる。多くの関係自治体が協力して署名を集め、早期実現の願いを届けていたことが大きな力となった」と発表した。

さいたま市が要望していた埼玉高速鉄道の延伸と東西交通大宮ルートの新設(大宮―さいたま新都心―浦和美園)も答申案に記載された。さいたま市の清水勇人市長は「市の成長戦略にも位置づけているのでしっかりと推進したい」とコメントした。市の担当者は「まちづくりをしっかりと進め、建設コスト縮減の方策も検討したい」と話す。

神奈川県は横浜3号線の延伸(あざみ野―新百合ケ丘)や横浜環状鉄道の新設(中山―元町・中華街など)、いずみ野線延伸(湘南台―倉見)などが入った。黒岩祐治知事は「重点路線がすべて盛り込まれた。100点満点の案を出していただいた」と評価。横浜市の林文子市長も「まちづくりの大きな励みになる」とコメントした。

もっとも今回盛り込まれた路線には採算性に課題が残る所も多い。いずみ野線を運営する相模鉄道は「輸送需要の創出や事業の採算性の確保など条件が整えば推進したい」と慎重な姿勢を示す。

今回の答申案は列挙した24事業について「優劣はない」(国交省)として格付けを避けた。ただ鉄道の整備は千億円単位にもなる事業でハードルは低くない。国としても財源には限りがあり、今後、優先度の判断を迫られる局面もありそうだ。

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