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しぼむ物価上昇期待、日銀が見通し下げ検討 異次元緩和4年目

企業や家計、市場参加者による将来の物価見通しがそろって下がってきた。原油価格が下落し景気の先行き不透明感も強まったことで、物価が上がりにくいと感じる人が増えているためだ。日銀も4月28日に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)での物価見通しの下方修正を検討する。量的・質的金融緩和(異次元緩和)は4日で4年目に入ったが、物価2%達成に向けて厳しい局面を迎えている。

日銀が4日発表した3月時点の調査によると、企業が描く1年後の消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しは昨年12月に比べ0.2ポイント低下の0.8%となった。3年、5年後の見通しもそれぞれ0.2ポイント低下。マイナス金利政策の導入決定後初めての調査だったが、政策の効果はまだ広がっていない。

「原油価格の異常な下落などを考慮すると(物価2%の)達成時期は後ろ倒しにならざるを得ないが、それに向けて動いていくことを期待したい」。経団連の榊原定征会長は4日、日銀がデフレ脱却に粘り強く取り組んでいくよう求めた。

物価上昇への期待が弱まっているのは企業だけではない。QUICKが4日発表した市場参加者の1年後のCPI上昇率の見通し(3月調査)は0.35%で、2月調査に比べ0.05ポイント下がった。2014年5月の2.38%からじりじりと下がっており、異次元緩和導入直後の13年5月以来の水準に逆戻りしてしまった。

家計の物価見通しも下がり気味だ。内閣府の消費動向調査をもとに日銀が算出した家計の1年後の見通しは14年3月まで3%を超えていたが、直近では2%台前半に下がっている。家計は物価見通しを高めに答える傾向があり、この水準は異次元緩和の導入時を下回っている。

日銀は3月の金融政策決定会合で物価上昇期待が弱含んでいると認めた。物価見通しが低下すると、企業が投資を先延ばししたり、家計が消費をためらったりして実際の物価も上がりにくくなる。日銀はこうした心理の悪化を受けて、16年度0.8%、17年度1.8%としている展望リポートの物価見通しの下方修正の検討に入る。「17年度前半ごろ」としている物価2%達成の見通しも、半年程度先延ばしする可能性がある。

日銀は物価2%の目標達成に向けて企業などの物価上昇期待を高めることを重視してきた。14年10月に追加金融緩和を決定した際には、原油安によって企業などの物価見通しが下振れするリスクがあることを理由に挙げた。

今回も市場の一部で追加緩和観測が出ているが、日銀はすでに企業や家計の心理が悪化するリスクを考慮に入れて、1月にマイナス金利政策の導入を決めたとの立場だ。ただちに追加緩和に踏み切るべきだとの声はまだ日銀内で広がっていない。物価上昇の動きが途切れていないか、4月27~28日の金融政策決定会合までに慎重に分析していく。

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