コニカミノルタ、独監視カメラメーカー買収 事務機補う
コニカミノルタはM&A(合併・買収)を通じた多角化を加速している。29日、ドイツの監視カメラメーカーのモボティックスを買収すると発表した。動画の解析・伝送システムに独自技術を持つベンチャー企業で、5月初旬をめどに株式の65%を取得する。買収額は非公表だが、200億~300億円とみられる。主力の事務機は国内外で市場が成熟しており、新たな成長事業を育てる。
コニカミノルタは昨年6月にも約300億円で米ディスプレー検査装置メーカーの買収を発表しており、2016年3月期に発表したM&Aは計800億円前後になる見通し。03年にコニカミノルタが発足して以来、年間では過去最大となる。
今回の独社買収でコニカミノルタは監視カメラ事業に参入する。モボティックスは360度撮影できる独自のネットワークカメラや、画像を解析し異常を検知できる機能をカメラに持たせる技術を強みとする。
コニカミノルタが目を付けたのは画像解析システムだ。通常の監視カメラは撮影する機能しかなく、画像をサーバーに集めたうえで解析する。監視カメラ数の増加や、画質向上でデータ量がかさみ、大容量のサーバーが必要になっている。
モボティックスのシステムでは、カメラそのものに画像を解析する「頭脳」を搭載している。不審な人や車両の動きを検知したり、あらかじめ指定した動きを撮影対象が見せたりした場合だけ、サーバーに画像を送る。
カメラから伝送されるデータ量を減らせるため大容量のサーバーが不要になる。カメラとサーバーが常時通信している必要もないという。車などが移動する場合、カメラ同士で通信をしながら追跡することも可能だ。
モボティックスの売上高は約100億円。このうち6割が欧州に集中しており、コニカミノルタの販売網に乗せて世界で販売する。同社はモボティックスの画像解析技術を使い、不審者の監視以外にも事業を展開する。例えば高齢者の異常が検知できる介護施設向けの見守りシステムなどと組み合わせる。
コニカミノルタは主力の事務機事業の価格競争が激しく、収益は伸び悩んでいる。2015年4~12月期の連結営業利益は415億円と前年同期比12%減った。モボティックスの技術を使ったサービスの売上高を今後5年で700億~800億円程度にする計画。今期予想の連結売上高の1割弱に相当する規模だ。