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京都の地下鉄、経営改善へ正念場
市「乗客1日5万人増」 駅ナカ・沿線開発に力

2016/3/15 15:00
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1日当たりの乗客を5万人増やすという目標を掲げる京都市営地下鉄の経営改善が正念場を迎えている。2018年度までの目標達成についてはインバウンド(訪日外国人)ら観光客急増の追い風もあり、前倒しで実現できる可能性も出てきた。過大な投資で悪化した経営を安定させられるかは、沿線開発など乗客を確実に増やす施策の成否がカギを握る。

京都市営地下鉄は1日当たりの乗客数が37万3千人を見込み、目標の数字に迫っている

京都市営地下鉄は1日当たりの乗客数が37万3千人を見込み、目標の数字に迫っている

京都市営地下鉄は当時の新制度により08年度決算で全国の公営地下鉄で唯一、国の監督が厳しくなる経営健全化団体になり、経営改善が義務付けられた。08年度の経常赤字は約144億円。健全化団体の指標に定めた事業規模に対する資金不足比率は133.5%と、地方財政健全化法が定める基準20%を大きく超えた。

■過大投資のツケ

足かせになったのは1989年に着工した東西線の建設費だ。総事業費は計画段階では2450億円だったが、工期がバブル期に重なったことなどで2倍以上の5500億円まで膨れ上がった。

「まず1日5万人の増客目標を前倒しで達成し、18年度までしっかりと経営健全化団体からの脱却を目指して取り組んでまいります」。今月1日の京都市議会本会議で門川大作市長は、地下鉄の1日当たり乗客数が計画を上回るペースで増えていることを説明した。

09年度に国に示した経営健全化計画では、健全化団体からの脱却を目指す18年度までに年間平均で1日当たりの乗客数を08年度比5万人増の37万5千人に引き上げる目標を掲げた。現在、16年度の1日当たりの乗客数は37万3千人を見込んでおり、当初の計画より早く「5万人増」という目標の数字に迫ろうとしている。

16年度の地下鉄事業の経常赤字は4億3100万円と予想。この赤字幅も当初計画に比べ30億円近く小さい。

収益改善には鉄道の利用者増とともに駅構内で商業施設を展開、賃料収入などが入るようになる駅ナカビジネスの貢献も大きい。駅ナカビジネスは10年から、繁華街に近い四条駅で本格化。今では京都駅など4駅に広がっており、14年度の収入は8億円に上った。

■キャンパス誘致

今年1月には地下鉄東西線と烏丸線の乗り換えポイントに当たる烏丸御池駅の駅ナカ商業スペース「コトチカ御池」を拡充。ドラッグストアや書店など4店が新規開業し、店舗数を6店に増やした。16年度末までに京都駅の南口改札付近を改装し、「コトチカ京都」の店舗数を約2倍の16店舗にする。

1日の市議会で門川市長は18年度決算で健全化団体から脱却した後も再び健全化団体に転落することがないよう、地下鉄の新たな経営計画を策定する考えを併せて説明した。背景にはこれまでの増客に一定の貢献をしてきたインバウンドなど観光客の需要が、国内外の景気動向や政治情勢に左右されるという懸念などがあるとみられる。

京都市は安定的に地下鉄の利用者を増やそうと、市有地を活用した沿線開発に着手。地下鉄事業以外の資産も活用するいわば側面支援で、15年4月、太秦天神川駅近くに新設された京都学園大学のキャンパスは、市が保有する浄水場跡地に誘致した。

キャンパス開設後、通学需要が増え、同駅の乗客数は前年比約1割増のペースで推移。市は残りの跡地も専門学校運営の大和学園(京都市)と社会医療法人の太秦病院(同)への貸し出しを決めている。

昨年10月には毎週金曜日の終電延長を開始。順次進めてきた京都市動物園のリニューアルも地下鉄の利用者増を見据えている。京都市は総力を挙げ、地下鉄経営の安定を急いでいる。(京都支社 浦崎健人)

 京都市営地下鉄 京都市交通局が運営する地下鉄事業。市本体の一般会計とは別の会計で運営している。市の中心部を国際会館駅から竹田駅まで南北に走る烏丸線と、太秦天神川駅から六地蔵駅を東西に結ぶ東西線の2つの路線がある。烏丸線は1981年に、東西線は97年に開業後、延伸を重ね、2008年に現在の路線網になった。総路線距離は31.2キロ。初乗り運賃210円は全国の公営地下鉄の中で一番高い。

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