/

農業分野に競争力強化法 農水省、飼料会社の再編促す

環太平洋経済連携協定(TPP)発効をにらみ、農林水産省は非効率な農業生産体制にメスを入れる。通常は産業界向けの「産業競争力強化法」を来年度に農業分野に初めて適用し、生産の実態を調査・公表する。その上で少量多品種で高コスト体質の農業資材メーカーに対し優遇税制をテコに再編を促し、割高な家畜用の飼料価格引き下げにつなげる。業界側にも再編を支持する声はあるが、省庁主導でどこまで進むかは不透明だ。

森山裕農相が9日の衆院農林水産委員会で「配合飼料業では過剰供給や過当競争がある」と指摘。「競争力強化法で定めた市場調査を実施したい」と表明した。自民党の小泉進次郎衆院議員への答弁。農水省は同法50条に定めた実態調査の手続きをもとに来年度から業界の調査を始める。

経済産業省所管の同法を農業分野に適用するのは異例だ。調査で「過剰供給構造にある」と認定されれば、登録免許税の軽減など再編に必要な税制上の優遇措置を受けられるようになる。

飼料業界を担当する農水省生産局などは飼料業界側に会社や生産ラインの再編・集約を検討するよう求める。

経産省は2014年6月、石油元売り業界に同法を適用し、再編につなげた。日本飼料工業会(東京・港)の鹿間千尋会長も最近の自民党の農業関連会合で「各社の業績は厳しい。業界再編が必要だ」と話しており、政府側と話し合いながら再編の青写真を描く意向とみられる。ただ、中小企業が多い業界内では再編への抵抗も根強い。

国内には複数の上場会社も含め65の飼料メーカーがあり、工場数は115ある。国内の酪農家や畜産農家の減少で需要が減っており、韓国のように1日平均16時間稼働する2交代制を前提とすると5割にのぼる生産能力が過剰との推計もある。

さらに日本は飼料の銘柄が1万5800もあり韓国の10倍だ。近年の需要減で一段と「少量多品種」の生産が進んだ結果、工場の操業率は14年度は93%と03年度の114%から21ポイント低下した。韓国の237%より大幅に劣っている。

飼料部門の非効率な生産体制は農家のコスト負担増に跳ね返る。日本の飼料価格は韓国より平均1~2割高いもようだ。飼料代は養豚コストの7割、酪農コストの5割を占めるとみられ、飼料価格が下がればそれだけ農家の所得を押し上げる。

小泉氏は農水委で「危機意識がない業界やメーカーもあり、様々な検討をゼロベースでしてほしい」と注文をつけた。

飼料以外でも生産効率が低い農業資材は少なくない。例えば肥料は日本は約2万種類あるが、韓国は約5700種類。価格も韓国の最大2~3倍との調査がある。農薬も日本は会社数が多く、韓国より割高との指摘がある。

小泉氏が部会長を務める自民党農林部会や政府の産業競争力会議でも、農業資材の価格を下げて農家の実質所得を増やす議論を進める。農業分野で競争力強化法によりメーカー再編を進める機運が広がる可能性もある。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン