被災3県の診療所、13%休廃止 医療過疎で復興の妨げ懸念

2016/3/8 1:39
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東日本大震災の津波で被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸と東京電力福島第1原子力発電所事故で避難指示区域となった計43市区町村で、震災前にあった計1938診療所の約13%に当たる259施設が廃止または休止したことが、3県や保健所への取材で分かった。津波で建物や医師らが被災したり、患者が減ったりしたことが主な理由という。

これらの地域では震災前から医師不足が指摘されていた。震災後は被災した人々の健康状態の悪化など新たな問題も生じている。一部地域で診療所が新設された例もあるが、「医療過疎」の進行に歯止めはかかっておらず、復興の妨げとなることが懸念されている。

震災後、今年2月までに保健所に休止または廃止届を出した医科と歯科診療所の数を調べた。43市区町村は岩手12、宮城16、福島15。仙台市は沿岸2区を集計した。

県別では、震災前の約25%に当たる176施設が休廃止した福島県が最多。岩手県は約11%の24施設、宮城県は約6%の59施設が休廃止した。

原発事故による避難区域の大半を管轄する福島県相双保健所の管内では、建物自体が壊れたのは1施設だが110施設が休廃止した。

同県が昨年秋に双葉郡の70診療所・病院を調べたところ、再開の意向を示したのは23施設だった。うち14施設は「住民帰還」や「インフラの復旧・整備」「除染の完了」といった条件が整えば再開したいと回答した。施設からは「民間では(経営が)厳しい」「帰還する人数が分からず、財政的に運営が難しくなる」との意見があったという。

診療所の医師が休廃止に伴い、開業医から勤務医になった例も目立つ。宮城県によると、被害が集中した石巻、気仙沼医療圏では休廃止した診療所の医師のうち29%は市外、21%は市内の他院などで働いている。

岩手県では仮設診療所で診察を続ける医師もいる。県が再建費用を補助しているが「土地区画整理事業が遅れ、現地再建のめどが立たないケースがある」(医療政策室)。

岩手、宮城両県の公立病院は本格復旧が進みつつある。宮城県南三陸町立の「公立志津川病院」は昨年12月に「南三陸病院」として新たにオープン。仮診療所で診察を続ける同県石巻市立病院も新築した施設で今秋の開業を予定する。

震災時に石巻赤十字病院の医師だった東北大の石井正教授は「もともと医師不足だった地域が被災しており、建物の整備だけでなく人材をどう確保するかが課題だ。医療は復興に不可欠なインフラで、公立の施設を先行して復旧させ、住民の帰還への不安を減らすなどの対策が求められる」と話している。

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