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スーパー増収、食品頼み 昨年既存店19年ぶりプラス

2015年のスーパーの既存店売上高が19年ぶりにプラスに転じた。衣料品や住関連品は前年割れとなったものの、14年比で2.5%伸びた食料品が押し上げた。ただ、食品の増収は生鮮品の相場高や加工食品の値上げの浸透が主な要因。客単価の上昇が客数の伸び悩みを補う構図は続く。暖冬の影響に加え、年明けからの株価下落などもあり、消費の先行きには不透明感が広がっている。

相場高にもかかわらず、生鮮品の売れ行きは堅調だった(東京都墨田区にあるライフコーポレーションの店舗)

日本チェーンストア協会が21日発表した15年の全国スーパー売上高は13兆1682億円。既存店の伸び率は0.7%だった。14年の消費増税に伴う落ち込みの反動がほぼ消えた8月以降、客単価は0.2~4.0%のプラスで推移。一方で客数は前年割れすることもあったという。

大手の既存店の動向をみると、イオンリテールの総合スーパーは9~11月の客数が前年同期比2.7%減、イトーヨーカ堂も3~11月で0.8%減だった。この間の客単価はイオンリテールが2.9%増、イトーヨーカ堂は0.5%増だった。

生鮮品の相場高とともに客単価を押し上げているのは値上げの店頭販売価格への浸透だ。15年は春季労使交渉で大手企業を中心に賃金の引き上げが広がり、消費意欲の改善につながったことなどが追い風になった。

消費者物価指数(生鮮品を除く)でも「食料」は11月の上昇幅が前年同月比2%以上。全国のスーパーなど約800店の動向を集計する日経POS(販売時点情報管理)によると、12月の牛乳の店頭平均販売価格は176.9円と前年同月比4%近く上昇していた。

食品が伸びた背景には消費動向の変化もある。総務省によると、家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は11月まで7カ月連続で25%を超え、バブル期以来の水準だ。衣料品が主力の百貨店が既存店ベースで4年ぶりの減収となる一方、スーパーでは1個300円程度の高級アイスクリームが人気を集めるなど、「食」を優先する消費者の傾向は鮮明になっている。

ただ、足元の既存店売上高は暖冬の影響で鍋物用などの季節商材の動きが鈍かったため、11月がマイナス、12月も横ばいだった。業界内には不安と期待が交錯する。

埼玉県が地盤のヤオコーの川野幸夫会長は「消費トレンドは10月末から下降気味。15年のような好業績を続けるにはよほどの努力しないと」と警戒。いなげやの成瀬直人社長は「(手ごろな商品を求める)価格志向が強くなってきた」と話す。

一方、マルエツなどを傘下に持つユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの上田真社長は「一時的な要因であり、消費減速とはいえない」と指摘。ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「天候が悪くても前年を上回った。それほど悲観するべきではない」という。

日本経済新聞社がマクロミルを通じて実施した調査によると、食費の支出が増えたという消費者の半数以上は「買う物は変わらないが値上がりが響いた」と回答した。相場高や値上げの浸透が家計にとっての負担と感じている消費者は多い。

年明けには気温が下がり、暖冬という特殊要因は薄れつつある。一方、世界的な株価の下落など景気の先行きには不透明感が漂う。「17年の消費増税を乗り越えられる勢いをつける必要がある」(日本チェーンストア協会の井上淳専務理事)という16年。食品頼みの現状をどう打ち破るかにかかっている。

(宮住達朗)

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