2019年1月16日(水)

住商、「優等生」買い戻し JCOMがTV通販最大手買収

2015/12/25 1:03
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ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM)は24日、テレビ通販最大手のジュピターショップチャンネル(東京・中央)を買収すると発表した。JCOM、ショップチャンネルはともに住友商事が50%の株式を持つ。過去に投資ファンドに売却したショップチャンネルの株式を買い戻す格好だ。浮き沈みの激しい資源関連の事業に対し、安定した収益源となったメディア関連事業。新たな成長戦略は描けているのか。

JCOMは2016年3月末までに米投資会社のベインキャピタルからショップチャンネルの株式50%を買い取る。取得額は1000億円を上回る見通しだ。「JCOMがショップチャンネルに出資することで連携は取りやすくなる」。住商は今回の買収の意義をこう説明する。

ショップチャンネルはもともと住商の完全子会社だった。12年7月に保有するショップチャンネルの株式の50%を約850億円でベインに売却したのは資金調達に加え、ベインが持つノウハウをショップチャンネルの事業拡大に生かすのが狙いだった。

ただ、13年に住商とショップチャンネルがタイで始めたテレビ通販にベインの関与はほぼ皆無。「当初の構想は十分に果たされていない」(証券アナリスト)

ベインとの連携を見直し、ショップチャンネルを買い戻す判断をした背景には住商の収益構造の変化がある。

原油や鉄鉱石の価格低迷などによる資源部門の苦戦のため、住商は15年3月期に16年ぶりの最終赤字に転落。2300億円の黒字転換を見込む16年3月期も資源・化学品の最終利益は260億円と低水準にとどまる。資源価格の低迷は今後も続くとみて、「資源関連の新規投資は当面見送る」(中村邦晴社長)。

収益を下支えする「非資源」部門でメディア・生活関連は柱の一つに位置付けられている。16年3月期にメディア・生活関連で見込む630億円の最終利益のうち、出資比率に応じた取り込み利益はJCOMが285億円、ショップチャンネルも80億円に達する。ともに利益貢献度の高い「優等生」事業だ。

今回のJCOMによる買収によって、住商は直接・間接を合わせると、ショップチャンネル株式の70%を持つ。資本構成の変化に伴うショップチャンネルの取り込み利益の上積みはあるものの、「住商とJCOM、ショップチャンネルが組む構図は従来と同じ」と野村証券の成田康浩シニアアナリストは指摘する。

完全子会社だった3年前との違いはJCOMに50%出資するKDDIも新たにショップチャンネルの株式を5%保有することだ。通販の購入代金を携帯電話料金と合算して徴収するといった新たなサービスの可能性は確かにある。

住商とKDDIはJCOMを巡り、対立した過去がある。10年にKDDIが米メディア大手からJCOMの株式を買い取り、筆頭株主だった住商と主導権争いを繰り広げた。住商主導で一応の決着には至ったものの、株式の買い増しに意欲を示すKDDIのけん制は続いた。14年のJCOMとジャパンケーブルネット(JCN)の経営統合を機に折半出資となり、ようやく対立は解消されたとみられている。

大手商社は85年の通信の自由化を受け、情報産業分野に積極投資した。事業が軌道に乗らず、競合他社が相次いで撤退するなか、住商は長く不振が続いたJCOMを支え育ててきた。住商とKDDIは直近でもミャンマーで協業するなど連携を深めている。KDDIとのタッグという新たな要素を加え、「虎の子」事業をどう一段の成長に導くのか。住商の本気度が問われる。(渡辺伸、高槻芳)

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