2019年1月17日(木)

海運再編の波、欧州勢が主導 仏社がシンガポール同業買収

2015/12/8 0:31
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コンテナ海運世界3位の仏CMA CGMがシンガポールの同業、ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)を買収する。7日、NOL株式の67%を持つシンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングスと合意した。長引く海運不況で単独での生き残りが難しくなるなか、欧州勢主導の海運再編が10年ぶりに動き出す。

「激しい競争と価格下落に苦しむなか、成長を確保するためには規模がこれまでになく重要になっている」。7日、シンガポールで記者会見したCMAのルドルフ・サーデ副会長はこう訴えた。CMAは2016年半ばにも株式の公開買い付け(TOB)を実施する。NOLの全株式を取得する場合、総額は33億8000万シンガポールドル(約3000億円)に上る見通しだ。

アジアと米国に強いNOLの買収には世界首位のA・P・モラー・マースク(デンマーク)も名乗りを上げていた。CMAはNOLの買収でコンテナ海運の世界シェアが12%となり、2位のMSC(14%)に迫る。

CMAが大型買収に打って出る背景には世界的な海運不況がある。例えば、消費財や自動車部品など広範な貨物を扱うコンテナ船のスポット運賃はアジア発の欧州向けで20フィートコンテナ1個約300ドルと前年の同じ時期の半値だ。マースクのニルス・アンデルセン最高経営責任者(CEO)は11月、「7~9月の平均運賃は2割下がった。しばらく状況は好転しない」と悲観論を語っていた。

コスト競争力のある大型船の比率が高い大手に比べると、中堅はさらに厳しい。11年から4期連続の最終赤字というNOLは5月に物流事業を近鉄エクスプレスに売却するなどリストラを続けていた。株主のテマセクはNOLの本業の海運事業でも約1年前から売却交渉を進めており、CMAが11月下旬に独占交渉権を得ていた。

CMAは2年以内に統合後の合理化計画をまとめる計画。10億ドル相当の船舶などの資産売却を打ち出す方針だ。NOLのコンテナ海運のブランド「APL」は維持し、シンガポールにアジア地域統括拠点を設立する考えも明らかにした。

コンテナ船業界では05年にマースクやCMAがM&A(合併・買収)で規模拡大に動いてから大型案件はなかった。しかし、14年に独ハパック・ロイドが南米に強いチリのCSAVと合併するなどにわかに再編機運が盛り上がっている。マースクのアンデルセンCEOも「財務体質は健全で規模拡大に動きやすい状況にある」と話す。

商船三井や日本郵船など日本勢のコンテナの世界シェアはNOLと同じ3%程度にとどまり、存在感は小さい。世界的な荷動き低迷の影響を受けるなか、「まずは収益構造を改革する」(商船三井の池田潤一郎社長)と業界再編からは距離を置く姿勢だ。

コンテナ船専業が多い欧州大手に対し、日本勢はコンテナのシェアが低く、タンカーや自動車輸送船など多様な海運サービスを展開していることも背景にある。ただ、中国政府の意向を受け、中国遠洋運輸集団(COSCO)と中国海運集団傘下のCSCLが合併協議に入るなど再編はさらに加速する兆しがある。日本勢も対応を迫られることになりそうだ。

(シンガポール=谷繭子、フランクフルト=加藤貴行、剣持泰宏)

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