武田、テバと共同出資会社 特許切れ薬販売移管
武田薬品工業は30日、後発薬世界最大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(イスラエル)と国内に販売会社を設立すると発表した。特許が切れた新薬の販売を新会社に移し、新薬の研究開発と販売に集中する。政府は新薬と同じ薬効成分で割安な後発薬の処方比率を2020年度までに8割以上とする方針。特許が切れた新薬の需要減が見込まれるなか、新薬開発に重点を移す。
武田とテバは来年春以降、新会社を設立することで合意した。新会社にはテバが51%出資し、武田は残り49%を出資する。今後、特許が切れた新薬の大部分の営業を新会社に移す方針だ。テバは日本法人のテバ製薬などが新会社に参加し、後発薬の拡販を進める。
医療費の伸びを抑制するため政府は6月、医薬品に占める後発薬の処方割合の目標を従来の6割以上から8割以上に引き上げた。政府の普及支援策が後押しし、調剤薬局や大型病院では特許切れ薬から後発薬への切り替えが急激に進んでいる。
武田が国内で扱う医薬品は200品目弱あるが、そのほとんどが特許が切れた薬で後発薬が売り出されると販売が減少する。同社の国内の医療用医薬品売上高は2012年3月期の約5900億円から3期連続で減少。新薬販売に力を入れているが、特許切れ薬の減収を補えていない。
特に過去に業績をけん引した主力薬の落ち込みが目立つ。高血圧症治療薬の「ブロプレス」は15年度上期の売上高が300億円強。後発薬に押され、前年同期比で4割強の大幅な減収となった。
特許切れと同時に新薬の売上高が急減する米国型の市場で求められるのは今後の成長をけん引するための新薬開発だ。新薬が発売までこぎ着ける成功確率は約3万分の1とされている。武田は08年にバイオベンチャーの米ミレニアム社を約9千億円かけて買収。手に入れたがんや消化器領域の新薬候補が、ようやく発売時期を迎えつつある。
武田の国内医療用医薬品の売上高に占める特許切れ薬の比率は約45%。今後、さらに減少するのは確実な情勢で、新薬の販売をどこまで伸ばせるかが成長のカギを握ることになる。
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