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宮城産ワイン、香り再び 観光客呼び込む契機に

宮城県で県産ワインをつくる取り組みが広がってきた。民間企業の支援を受け、仙台市秋保で震災後県で初めてワイナリーが完成、9月から生産を始めた。ワイナリー設立を目指す他の事業者の研修受け入れも始まり、川崎町や名取市など各地にワイン造りの動きが波及しつつある。県産ワインの話題性を高め、観光客を呼び込むきっかけにする。

ブドウ栽培を始め、将来の増産も計画する仙台秋保醸造所の毛利親房社長

三菱商事の支援を受けて、元設計事務所勤務の毛利親房氏が設立したベンチャー企業、仙台秋保醸造所(仙台市太白区)は9月にワイナリーを完成した。山梨産のブドウ6トンを仕入れ、同月から試験醸造を始めた。亘理町の「結城果樹園」などからリンゴを調達し、シードルも生産する。年内にワインとシードルを合わせて1万本をつくる。

隣の畑ではブドウ栽培も進む。2016年秋にワイン造りに適したブドウが収穫できれば「宮城産」のワインをつくる体制が整う。毛利社長は「将来はタンクを追加し、合計で4万本つくれるようにする」と話す。

目黒浩敬氏は有名イタリア料理店を閉店し、ワイン造りに専念する(宮城県川崎町)

秋保醸造所では今後、ワイン造りに取り組む事業者の実務研修も担う。仙台市のイタリア料理店「アルフィオーレ」のオーナーシェフだった目黒浩敬氏は10月から研修を受け始めた。目黒氏のレストランはテレビでも紹介される有名店だったが、より多くの人に農産物のおいしさを伝える食育に興味を持ち外食経営からワイン造りに方向転換。県南部の川崎町で放棄地を借り、昨年5月、1500本のブドウを植えた。

植えたのはシャルドネやメルローなど12種。「時間をかけてこの土地に合う品種を見つけたい」という。閉鎖した工場を改修して、ワイナリーも17年につくる予定だ。

県の指定を受けて障害者の就労場所を提供するゼンシン(名取市)でも4月に畑を整備し、メルローやシャルドネなどを240本植えた。16年には800本追加で植える。農作業を通じて障害者が働く力を身につけられるようにする。

ブドウは仙台秋保醸造所に持ち込んで醸造してもらう。ゼンシンの前田忠嗣社長は「名取産ブドウでつくったワインをブランド化し、収益が障害者の給料に還元できるようにする」と話す。

収益化まで時間 民間企業の後押しが支え

宮城県は約4年半、東北6県でひとつもワイナリーがない空白地帯だった。震災前、唯一あった山元町のワイナリーが畑ともども津波で流失したためだ。

仙台秋保醸造所は毛利氏らに賛同した三菱商事が復興の期待を込めて、4月から建設を進めてきた。ブドウはワイン造りに適する実がなるまで植えてから3~5年はかかる。その間の事業収益はないため、三菱商事のような民間企業の支援は今後、宮城でワインづくりを志す事業者の大きな支えとなっている。

国税庁によると、13年の宮城県のワイン消費量は全国12位で東北では最も多く、県産品の需要は見込める。ワインを消費する文化に加えてワインをつくる機運も広がれば、宮城県に来てワインを楽しむ観光客が増える可能性もある。

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