2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会のエンブレム委員会(委員長・宮田亮平東京芸術大学長)は16日、新しい公式エンブレム選定に向けた応募要項をまとめた。「日本らしさ・東京らしさ」などをキーワードとし、応募資格は大幅に緩和。審査への「国民参加」も検討する。宮田委員長は「できるだけ多くの人が応募してほしい」としている。
18歳以上で国内在住なら国籍は問わず、経験やデザイン関連の受賞歴は不問――。今回の選考が前回と大きく異なるのは応募の間口を大きく広げた点だ。前回は国際的なデザイン賞2つの受賞が条件で、応募は104件のみ。今回はグループでも応募可能で、グループ内に子供や外国人を含むことも認めた。
応募の殺到も予想され、提出はインターネット上の専用サイトでのみ受け付ける。応募の形式的要件を満たしているかのチェック、デザインの予備審査など複数の段階を経て絞り込んでいく方針だ。
前回はデザインの専門家8人のみで選んだが、エンブレム委は審査過程への国民参加を検討。宮田委員長は16日、「ネット上の国民投票をやりたい」と述べた。
ただ実現には課題が多い。エンブレムを商標登録前に公表すると、第三者が先だって登録してしまう恐れがあるためだ。
候補を数点に絞り商標登録したうえで国民投票をする案もあるが、宮田委員長は「タイムスケジュールがある。『確実にやります』とは明言できない」と予防線を張る。
投票が難しい場合はエンブレムのコンセプトなどについてネット上で随時アンケートを行い、結果を審査の参考にすることなどが挙がっている。
エンブレム委は新エンブレムのキーワードとして「日本らしさ・東京らしさ」「復興・立ち上がる力」など7つを提示。応募者はこれらを踏まえて作品コンセプトを考える。締め切りは12月7日だ。
提出時にはエンブレム案とともに作品のタイトル(20字以内)やコンセプト(200字以内)も添えるよう求めており、宮田委員長は「自分の思いや制作意図を書いてもらう。『この形ってこうなんだ』というのは結構大事だ」と話す。
描画ソフトで製作した作品に限定し、手書きは不可。「(グッズなど)色々と展開していく。手書きでは難がある」(事務局)ためだという。