2019年6月16日(日)

TPP影響抑制策、コメ価格維持に重点 牛・豚肉は支援拡充も

2015/10/7付
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政府は6日、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受けて、国内農業への打撃を抑える対策作りに着手した。コメでは米国とオーストラリアからの新規輸入分と同量の国産米を政府が買い上げて備蓄米にするのが柱となる。市場に出回るコメの総量を抑えて国産米の価格が下がるのを防ぐ狙いだ。関税が下がる牛肉や豚肉の農家への赤字補填策も拡充する。

農林水産省は9日に農相を本部長とした対策本部の初会合を開く。対策は年内にもまとめる。

TPPで日本は米国と豪州にコメの無関税の輸入枠を設ける。当初は計5万6千トンで段階的に増やし、13年目から計7万8400トンにする。日本産の半値程度とされる米国産や豪州産のコメが入ってくれば、一部の消費者は日本産から米豪産のコメに乗り換えそうだ。

政府が懸念するのは米豪産に引きずられる形で国産米の価格が下がることだ。すでに指標となる新潟産コシヒカリの2014年産米が60キログラムあたり1万5千円程度となるなど米価は低迷している。さらに下がるとコメ農家の経営に響くため、考えたのが今回の買い上げだ。

具体的には新たに入る米豪産と同量の国産米を農家から買い上げる。需給を引き締めて価格を維持するためだ。買い上げたコメは備蓄する。

政府は天候不順などでコメの生産が振るわず、供給が不足したり価格が高騰したりするのを避けるためにコメを備蓄している。100万トンを適正在庫として毎年買い上げ、古くなったコメは廃棄したり家畜の餌にしたりしている。

買い上げを増やせば、財政負担が一段と増す。コメを18万3千トン買い上げた13年度は449億円。今年度は25万トンを買い上げる計画だが、仮に7万8400トンを追加すると、国費負担は年700億~800億円程度に増えるとみられる。

価格を維持すれば消費者のコメ離れに拍車がかかる恐れもある。農水省内にも「買い上げは一時的な痛み止めにすぎず、農家の体質改善につながらない。大規模化や栽培手法の改善で生産コストを下げ、輸出拡大でコメの需要を増やすべきだ」との声がある。

政府は牛肉や豚肉でも国内対策が必要とみている。牛肉の関税は38.5%から1年目に27.5%、16年目に9%まで下がる。豚肉も高級品は4.3%から1年目に2.2%に、10年目からはゼロになる。収益が生産コストを下回った場合、その差額の8割を国と生産者の積立金などで補填する経営安定対策を拡充することなどが検討課題になりそうだ。

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