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EU、トルコに協力要請 難民対策で首脳会談

【ルクセンブルク=森本学】欧州連合(EU)は5日、ブリュッセルでトルコのエルドアン大統領と首脳会談を開いた。多数のシリア難民らが欧州に押し寄せる「難民危機」に直面するEUのトゥスク大統領はトルコにシリアとの国境の管理強化などの協力を求めた。エルドアン大統領の強権政治にEU内ではなお抵抗感が強いものの、難民対策はトルコ頼みの様相を強めている。

エルドアン大統領は5日、EUのトゥスク大統領やユンケル欧州委員長と会談した。会談後に記者会見したトゥスク大統領は「欧州は自らの国境をもっとうまく管理しなければならない。トルコにも同様のことを期待する」と述べ、国境管理を強化するよう求めた。一方、エルドアン大統領は記者会見で、トルコがこれまでシリアやイラクからの難民を積極的に受け入れてきたと訴えた。

EUがトルコとの関係強化を重視しているのはシリア国内やトルコなどEU周辺国に滞留する欧州難民の"予備軍"の多さだ。トルコがシリア難民ら200万人を受け入れているほか、EUによると、シリア国内にもなお800万人の避難民が残っている。

トルコの難民キャンプが収容能力を超え、生活環境が悪化したことが欧州を目指す難民らを急増させたとの指摘もある。EUは今後2年で16万人の難民を分担して域内に受け入れることで合意したが、協議の難航で加盟国の結束は揺らいだ。さらなる流入を防ぐため「トルコがカギを握る」(EU近隣国向け政策を担うハーン欧州委員)との見方がEU内で広がる。

EUはトルコの難民支援を後押しするため、10億ユーロ(約1350億円)の財政支援を検討。トルコ国内にEUの負担による難民キャンプの設置も提案している。トルコの難民収容能力を高め、欧州入りを目指す難民らを減らす狙いだ。首脳会談でもこうした支援策を議論したもようだ。

今後の連携強化では、トルコのさらなる協力を引き出すための方策も検討課題となりそうだ。トルコはEUに対し、トルコ人が査証(ビザ)なしでEU域内を旅行できるよう求めてきたが、交渉が滞っている。

難民危機での協力の見返りにビザなし渡航の実現が近づけば、11月に総選挙を控えるエルドアン大統領にも"得点"となる。ただクルド人系非合法武装組織の掃討など同大統領の姿勢を批判してきたドイツなどは、ビザ規制の見直しに慎重だ。

トルコは今年7月、従来の方針を転換し、過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)に対抗する米国など有志国連合による軍事作戦への参加を決めた。その狙いとして、国境を接するシリア北方にISを排除した「安全地帯」をつくり、そこにシリア難民を収容することを提唱する。

トルコは安全地帯構想についてEUの支持を得たい考え。トゥスク大統領は会談後、「トルコと議論する用意がある」と応じたが、同構想にはトルコ政府が警戒するシリア北部のクルド人勢力を分断する狙いが込められているとの指摘もある。

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