生損保 介護市場で競う 損保ジャパン、ワタミから買収発表

2015/10/3付
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損害保険や生命保険各社が介護事業を拡大している。損保ジャパン日本興亜ホールディングスは2日、居酒屋大手ワタミの介護子会社を買収すると発表。東京海上ホールディングスや明治安田生命保険も介護関連事業を拡大する方向だ。豊富な資金を持つ保険会社の参入が広がれば、サービス向上や政府の財政負担の抑制につながる可能性がある。

「ワタミの介護」(東京・大田)の全株式を210億円で買い取る。12月1日に買収を完了し、パートを含む約7000人の従業員も引き継ぐ。

ワタミの介護は3月末時点で111カ所の介護付き有料老人ホーム運営やデイサービス(通所介護)、訪問介護などを手がけ売上高で業界7位に位置する。「首都圏を中心に事業展開しており、めったにない出物だ」。損保ジャパン日本興亜の幹部は今回の買収で介護事業を大きく伸ばせると見る。

同社はこれまで介護中堅のシダーに34%、同大手のメッセージに3.5%出資し、派遣した人材を通じノウハウを吸収してきた。今後は自前で施設運営を始めることになる。ワタミの介護は足元で赤字基調だが、人材育成や労務管理の改善で早期の黒字転換をめざす。

保険会社の介護事業に対する関心は高い。訪問介護事業をグループ会社で手掛ける東京海上も今年6月、サービス付き高齢者向け住宅の運営に参入すると発表した。ソニー生命保険などを傘下に持つソニーフィナンシャルホールディングス(ソニーFHD)の子会社は来年4月に都内で有料老人ホームを新設。明治安田生命も介護付き有料老人ホーム事業を拡大する方針だ。

厚生労働省によると、介護保険の給付費は2025年度に約20兆円となり15年度の2倍に膨らむ見込み。人口減の影響で保険料収入が伸び悩む生損保市場とは対照的だ。

保険事業との相乗効果が大きいことも参入拡大につながっている。大同生命保険は10月に募集開始の介護保険の契約者や親族に対し、出資先の介護関連サイト運営会社の持つ情報を提供する。保険金の代わりに介護サービスを受けられる「現物給付型保険」も視野に入れている会社が多い。

社会保障費用の膨張は国の財政の悪化の主因だ。民間企業の資金と知恵を生かして社会保障分野のムダを減らし、サービス向上とコスト抑制を両立させる道筋が重要になっている。

13年時点の政府調査によると、訪問介護の場合、企業など営利法人が経営する施設は全事業所の64%を占め社会福祉法人(20%)、医療法人(6%)を大きく上回る。厚労省幹部は「増え続ける高齢者を支えるためにも多様な主体が参入するのは歓迎だ」と語る。

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