福島「復興牧場」が完成 東北最大級、避難酪農家が共同経営

2015/9/26付
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東日本大震災からの復興に向け新たな酪農経営のモデルづくりを目指す東北最大級の「復興牧場」(約3.6ヘクタール)が25日、福島市内に誕生した。東京電力福島第1原子力発電所事故で避難を余儀なくされ生産休止中の福島県内の酪農家が共同で農業生産法人「フェリスラテ」(田中一正社長)を設立、10月2日から牧場で乳牛の飼育を開始する。大規模化による業務の効率化と酪農家の労働環境の向上を目指す。

福島市の中心部から車で15分ほどに位置する敷地に建設。乳牛約580頭を飼育し、操業開始後3~4年で年間5000トンの生乳生産を目指す。総事業費は運転資金などを含め約20億円。国や県が県酪農業協同組合を通じて計約11億円を補助し、農林中央金庫が復興ローンや復興ファンドなどで計約6億円を支援するほか研修費用なども助成する。

フェリスラテは田中社長を含む福島県の南相馬市や浪江町、飯舘村の30~50代の酪農家5人が共同で経営する。酪農での共同経営は国内でも珍しく、県内では初めて。5人はいずれも原発事故で避難生活を送る中、県酪農協の呼び掛けに応じて事業に参加した。

同社は昨年4月に設立。役員らが稼働に向けた準備を進めてきた。同社は低コストな生産態勢を目指しており、当初は役員と社員、パートの計11人体制でスタート。最終的にも17人体制にとどめる計画だ。

乳牛の管理など技術面については、県酪農協が支援する。

牧場施設は、県酪農協が建設して農中に貸与するという枠組み。初期投資の負担が軽いため、事業を早期に軌道に乗せられるという。

大規模化によるスケールメリットや、共同経営による労働環境の向上などと併せ、今後、営農再開を目指す被災酪農家にとってのモデルケースとなることが期待されている。

25日に復興牧場で開かれた記念式典で田中社長は「自分の酪農人生の集大成として頑張りたい。福島の他の酪農仲間にも元気を出してもらえたらうれしい」と語った。

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