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ネスレ日本「脱インスタント」道険し 高級感浸透へ新コーヒー

ネスレ日本は7日、お湯で粉を溶かす即席(インスタント)コーヒー「ネスカフェ」で価格が従来品の約4倍の新製品を発表した。既存のインスタントと製法が異なるとして呼称を「レギュラーソリュブルコーヒー」に変えてから2年。高級感の浸透はままならない。カフェやコンビニエンスストアなどがこだわりの味を競うなか「違い」を分かってもらえるか。

新商品は「香味焙煎 究み(きわみ)」。旬の豆だけを使いコクが深いという。販路を絞り、10月からネスレの通販サイトや高級料理店で、11月には百貨店でお歳暮向けに売り出す。希望小売価格は税抜き1800円(35グラム)と、即席コーヒーでは圧倒的に高価だ。

「味だけでなくブランディングで勝つ」。7日、都内で開いた事業戦略発表会で高岡浩三社長は意気込んで見せた。

同社は2013年、ネスカフェの呼称をインスタントからレギュラーソリュブル(「溶ける」という意味)に刷新した。焙煎したコーヒー豆の微粉末を入れる製法がその根拠だ。だが、ドリップでいれるレギュラーコーヒーと誤認される恐れがあるとする業界団体と対立。昨夏にはネスレが脱退する事態に至った。

もともとインスタントを日本に根づかせたのはネスレだ。国内市場の7割を握り、競合他社とは品質が違うとの思いも強い。一線を画すソリュブルには「巨人」のプライドがかかっている。

高岡社長はシェフを起用したテレビCMなどの効果で「ソリュブルの浸透は予想以上に早い」と自信を見せる。製品別などの詳細は明らかにしていないが、15年1~6月期の営業利益は全社で前年同期比1割増えた。

だが実は歯がゆさも感じている。「高価格帯に一気に振ることで『ソリュブルはインスタントとは全く別物』という話題を喚起する必要がある」。高岡社長自身がかねて危機感を持っていた。

ソリュブルとインスタントを同じ棚で売る小売大手幹部は「どちらも粉をお湯で溶かすもの。棚を分ける利点がない」と語る。ネスカフェの愛飲者にも「味の変化や名称変更に気づかなかった」(京都市の40代女性)との声がある。マシンの無償貸し出しでオフィスなどの需要開拓に力を入れる背景の一つには、小売店の売り場づくりが思うに任せないこともある。

全日本コーヒー協会によると、14年の国内コーヒー消費量は約45万トンと過去最高だった。コンビニのコーヒーに使うこともありレギュラーコーヒーが元気だ。従来のカフェチェーンに加え、新興勢も台頭。UCC上島珈琲やキーコーヒーも品質を高めたレギュラーの新商品投入に動く。上質なコーヒーを巡る競争は激しさを増している。

高岡社長は新製品について「1杯にすれば75円。品質が同程度なら、家庭ですぐに飲める方が価値がある」と主張する。販売価格の高さや販路限定は高級イメージの演出には効果的だが、周知の面では弱い。多くの消費者に実際に味わってもらう策も練る必要がある。

(竹内悠介、宮住達朗)

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