2019年1月24日(木)

豊田通商、「近大マグロ」九州で量産 五島に一貫養殖拠点

2015/7/24付
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豊田通商は九州でクロマグロの量産体制を確立する。「近大マグロ」で知られる近畿大学との連携で新たに長崎県の五島列島に卵から稚魚を育てる施設を新設。採卵から成魚を育てるまでの一貫養殖拠点にする。2020年に稚魚で30万匹、「近大マグロ」として成魚で4000匹の出荷を目指す。新たに沖縄県でも拠点設置を検討する。

同社は近大と技術協力協定を結び、10年に五島列島の南西端、福江島でクロマグロの養殖施設「ツナドリーム五島」を開設。今回、この施設の隣接地に、いけすに入れる前の稚魚を育てる「ツナドリーム五島種苗センター」を新設した。23日の開所式で加留部淳社長は「世界に誇るクロマグロ専用施設。今後のマグロ食文化、日本の食文化を支える」と抱負を語った。

種苗センターではクロマグロを卵からふ化させて、約30日かけて体長5センチメートル前後の稚魚になるまで育成する。その後、ツナドリーム五島で稚魚をいけすに受け入れ、養殖業者に出荷できる体長30センチメートル、重さ約1キログラムの幼魚「ヨコワ」に育てる。

これまでツナドリーム五島には、近大の拠点である和歌山県や鹿児島県の奄美地方から稚魚を移送。この過程で約半分が死んでしまっていた。五島で一貫体制を整えることで、生存率を高める。6日に初めて種苗センターからいけすまで移送したところ、稚魚の98%が生存したという。

育てたヨコワの一部を成魚に育てて採卵する実験もすでに開始。現地でのクロマグロの「再生産」を早期に軌道に乗せたい構えだ。

種苗センターの開所に合わせ、九州での人員体制も補強。東京に配置していたチームを4月、福岡市にある九州支店に移した。九州の養殖業者や高級百貨店への販路開拓を想定。五島のバックアップ機能も加味し、福岡への配置が効果的だと判断した。こうした一連の体制づくりで量産体制を九州で確立し、20年に稚魚で30万匹、成魚で4000匹を出荷する考えだ。

クロマグロの完全養殖技術は近大が02年に開発し、「近大マグロ」として脚光を浴びた。近大は10年に豊田通商と商業化に向けて提携し、技術を移転。14年には豊田通商の育てたマグロを「近大マグロ」として認定することを決めている。今回の一貫拠点の整備で、この「近大マグロ」の量産が近づいた形になる。同社は沖縄県から認可を得られれば、新たな養殖拠点を同県内に開設したい考えだ。

従来のクロマグロの養殖は、天然のヨコワを漁獲して育てる手法が広まっている。ただ、乱獲で天然ヨコワの漁獲量が足元で急減した上、水産庁が1月から30キログラム未満の未成魚の漁獲量を制限。天然資源を必要としない完全養殖が期待を集めていた。

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