ドローン活用、空から地上のセンサーに給電 京大など実験
京都大学と千葉大学発ベンチャーの自律制御システム研究所(千葉市)などの産学チームは、小型無人飛行機ドローンから地上に置いたセンサーに給電し、データを無線で飛ばして取得する実験を公開した。火山など人が近づけない場所で自動計測した温度などのデータを収集し、噴火予知などに役立てるのが狙い。1~3年での事業化を目指す。
火山の火口付近の温度や湿度などの変化を計測すれば、火山活動が把握しやすくなる。だが噴火の危険が迫ると、設置したセンサーのデータを人が取りに行くのは難しくなる。無線でデータを送るには、そのための電力供給が問題になる。
研究チームは地上のセンサーに電波で給電し、センサーのデータを取得するドローンを開発した。
実験は、京都大学宇治キャンパス(京都府宇治市)の屋内施設で実施した。飛び立ったドローンはセンサーの直上4メートルで静止し、マイクロ波を用いて8ワットの電力を送電。これを受けてセンサーが作動して温度と湿度を測定し、ドローンがそのデータを無線で受信した。
2カ所に置いたセンサーのデータを順に取得して、元の位置に戻った。
火山灰でセンサーを覆って実験しても、問題なく給電し、データ送信できた。センサーをコンクリートなどで保護してもデータを取得できるという。京大の篠原真毅教授は今年度中にも野外実験を実施したいとしている。ただし長距離の給電に適した5.8ギガ(ギガは10億)ヘルツの周波数帯は、現行の法規制のもとでは無線給電に利用しにくい。篠原教授は今後、商業利用できるように働きかける考えだ。