岩手・釜石、「観光都市」へ弾み 橋野鉄鉱山が世界遺産に

2015/7/7付
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橋野鉄鉱山・高炉跡(岩手県釜石市)の世界文化遺産登録が決まり、同市は東日本大震災からの復興と同時に観光集客に力を入れる。市は現地の駐車場を拡張し、JR釜石駅には案内所を新設。現地での土産物販売やボランティア増員など観光客受け入れに向けた動きが始まった。県内の世界遺産「平泉」と組み合わせた周遊ルートの開発も検討されている。

釜石市は道路の案内看板を増設したほか、現地の駐車場を計130台に拡張したり、JR釜石駅前に観光案内所を新設したりして受け入れ体制の整備を急いでいる。6月にはJR釜石駅から約30キロ離れた橋野鉄鉱山まで、土日祝日に観光ガイドが同乗するシャトルバスの運行も始めた。

地元の橋野町振興協議会(菊池成夫会長)は現地に約140本の桜を植樹。近くの産直組合が土産物を売る動きなども広がっている。菊池会長は「地域資源の有効活用が地域振興につながり、復興の強い後押しになる。今後も遺跡保護に努めたい」などと話す。

市民も汗をかく。十数人で活動する釜石観光ボランティアガイド会(三浦達夫会長)は6人の新人を加え、研修を強化している。三浦会長は「ものづくりが盛んな釜石は観光には消極的だったが、今回の登録を起爆剤にしたい。現地には高炉跡の石組みが残るだけだが、その歴史的意義を伝えていく」と話す。

世界遺産効果はすでに出始めている。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)が登録を勧告した5月、橋野鉄鉱山を訪れた観光客は昨年1年間とほぼ同数の約6千人に達した。新日鉄住金と共に東北屈指の産業都市として栄えた釜石が、新たに「観光都市」へ飛躍する好機だ。

岩手経済研究所(盛岡市)は橋野鉄鉱山の世界遺産登録による岩手県経済への波及効果を年7億2千万円と試算する。交通アクセスの良い平泉の試算63億6千万円に比べると小さいが「内陸の平泉とは食べ物や土産などの地域性が異なり、組み合わせれば面白いツアー商品ができる」(平泉観光協会)との声もある。

課題は復興工事とのバランスだ。市が今春開いた審議会では「工事がピークを迎え沿岸部ではダンプがひっきりなしに走る。修学旅行は多くのバスで訪れるが、生徒を安全に誘導するには数台が限度だ」との声も出た。ジレンマを抱えながらの観光振興をどう真の復興加速に結び付けていくのか。市や県の手腕も問われる。

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