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東京五輪、企業も晴れ舞台 スポンサー集め絶好調

2015/6/3 3:30
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2020年東京五輪・パラリンピックの協賛企業集めが絶好調だ。新国立競技場など公費で行う新設施設の計画が資金難で次々と見直される一方で、大会の国内スポンサー最高位の「ゴールドパートナー」には、すでに13社が決定した。1社150億円程度と目される巨費を競うように投資する企業の思惑はどこにあるのか。

20年東京五輪・パラリンピックの協賛企業集めは絶好調

20年東京五輪・パラリンピックの協賛企業集めは絶好調

■広告看板は禁止

五輪スポンサーになることの意味は、他のスポーツ大会と決定的に違う点がある。競技場の表舞台で広告を禁じる「クリーンベニュー」(きれいな場所)ルールの存在だ。広告看板を置いて企業名を露出させる常とう手段は使えない。

ゴールドパートナーの特典は、五輪・パラリンピックと日本選手団を支援する企業だと堂々と名乗れること。自社製品やサービスを優先的に納入する権利も持つ。人の心を揺り動かすパワーを持つ巨大イベントに自らの企業イメージを重ね合わせ、大会を製品やサービスのショーケースとして使えるということだ。

スポーツ用品メーカーの戦略は分かりやすい。競技場内の広告は禁止でも、製品に付けるブランドロゴは製造物責任を示すマークとして認められる。アシックスは日本選手団のウエアや8万人とされるボランティアのユニホームを提供する。

海外で販売好調な同社だが、国内は派手な宣伝を展開する海外メーカーに押されている。「国内の構造改革をやる。目立つのはやはりウエア」と尾山基社長。東京大会を攻勢に転じる絶好のチャンスととらえる。

今回は国際オリンピック委員会(IOC)のスポンサーにパナソニックや情報システム大手の仏アトスがいながら、よく似た業種のNECが「パブリックセーフティ先進製品とネットワーク製品」、富士通が「データセンターパートナー」のカテゴリーで東京組織委と契約。「通信サービス」のNTTも名を連ねる。五輪<マーケティングには1業種1社の慣例があるがカテゴリーを細分化して契約社を増やした。

先端技術を駆使する企業の参加は特別な意味がある。製品・サービスを納入するだけでなく、それを通じて大会の運営に関与し、成功に導く責任の一端を担う。NECは生体認証や行動検知などの技術で大会のセキュリティーに貢献。NTTや富士通もサイバーテロを封じ込める役割が求められる。「世界最強の専門家が協力し合って安全な五輪を開催する」と東京組織委の森喜朗会長。

■最先端の競演

パナソニックとアトスはすでに、20年に向けて互いが得意とする映像技術とネットワーク構築技術を融合させた防犯システムなどの共同開発を始めた。これから協賛各社の連携が進むのは必至。大会を成功に導くため互いの技術を結集することが予期せぬイノベーション(技術革新)を生むかもしれない。

4年に1度の世界最大のイベントは、新技術・システムを開発し披露する舞台でもある。半世紀前の東京五輪にも世界初の技術がたくさんあった。「衛星中継ではうちが手弁当でパラボラアンテナを持ち込んで世界へ映像を送った」とNECの遠藤信博社長。

多言語対応の音声翻訳サービス、映像とビッグデータ解析による監視システム、次世代自動車やそれに対応したエネルギー供給――。20年の東京大会を支えると期待される新技術が新たな製品やサービスとして普及するとき、その舞台のプレーヤーであることは大きなアドバンテージとなるのだろう。

日本では五輪はしばしば社会現象ともいえる熱狂をもたらす。今回はパラリンピックの存在価値もかつてないほど高い。ただし、五輪・パラリンピックへの投資が、想定通り、あるいは想定以上の価値を生むには、大会が安全・確実に成功し、世界中が共感する祝祭ムードを醸し出すことが前提になる。

(編集委員 北川和徳)

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