パイオニア、カーナビで100万曲聴き放題 年3000円
パイオニアはカーナビゲーションシステムを使った音楽配信サービスを5月下旬に始める。音楽配信大手のレコチョク(東京・渋谷)と連携し、100万曲以上を年3000円で聴き放題にする。パイオニアはカーナビを中心とした自動車分野に特化する戦略だが、スマートフォン(スマホ)を使ったナビの普及など環境は厳しい。サービス面の充実で新しい価値をアピールし、顧客を確保する。
5月下旬に発売する上位機種「サイバーナビ」(15万~25万円程度)向けにサービスを始める。専用アプリ(応用ソフト)を入れたスマホとサイバーナビを近距離無線規格「ブルートゥース」でつなぎ、ストリーミング再生する。スマホに数曲分を記憶させ、トンネル内などでも再生が切れないようにした。
楽曲はレコチョクが提供する100万曲以上から自由に選べる。カーナビの大型画面で選曲できるため、スマホなどに比べて操作性が高くなるという。新機種購入者は1年間無料で聴けるようにし、初年度で10万台の販売を目指す。
パイオニアが独自開発した楽曲推薦技術も搭載する。「明るい気分」「ナイトクルーズ」など気分や好みを入力すると、曲調の合った楽曲が出てくる。最新のヒット曲をランダムに再生したり、カラオケモードにしたりすることも可能だ。
自動車に後付けする市販カーナビの国内市場は2013年度に約1221億円と3年連続で縮小した。スマホを使ったナビアプリの普及などが響いており、カーナビ各社は独自性のある技術などでスマホに対抗する。
アルパインは大画面で高精細表示が可能な新機種を発売する。JVCケンウッドはCDより高音質なハイレゾリューション音源の再生に対応したカーナビを投入し、カー用品店などで好調な出足を見せている。
パイオニアはこれまで技術面を前面に出してきたが、スマホアプリとの明確な違いを出すのは難しくなりつつある。大舘諭執行役員は「スマホと争うのでなく、車内にスマホがあることを前提に音楽という新しい付加価値を訴求したい」と話す。今後は走行状況に応じた音楽を流すなどさらに独自性のある製品を開発したい考えだ。
パイオニアは据え置き型カーナビの国内最大手。すでにAV(音響・映像)機器事業を分離しており、今後はカーナビを中心とした自動車分野に集中する。17年3月期には車載機事業の売上高を14年3月期比13%増の約4000億円に引き上げる計画だ。
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