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大和ハウス、介護ロボで成長目指す 装着型新製品

大和ハウス工業がロボットを成長の突破口にしようとしている。13日、約2割を出資する筑波大発ベンチャー、サイバーダインの装着型ロボットの新商品を5月1日に発売すると発表した。高齢者の歩行を助けたり、介助者の負担を軽くしたりする。高齢化時代の快適な暮らしをロボットが演出する。耐震性や省エネ性に続く住まいの付加価値として浸透するか。

大和ハウス工業が、介護・福祉施設向けに販売する自立支援用ロボットスーツ「HAL」の新3機種(13日、大阪市北区)

大和ハウスはサイバーダインの第2位株主で、同社製品の国内の主力販売代理店でもある。発売するのはロボットスーツ「HAL」の新製品3種類。体に張り付けたセンサーで脳からの電気信号を読み取って体の動きを予測して手助けする。

まずは施設向け

同社製品は従来1種類だったが、今回は3種類を投入する。それぞれ下半身、肘や膝、腰に装着する。「IRT(情報ロボティクス技術)で快適さを届けたい」。大和ハウスの田中一正・ロボット事業推進室長は同日の記者会見でこう語った。

下半身に着けて足が弱った人の歩行を助けるロボットは従来製品の改良型で、センサーの精度を高めて重度の人でも使えるようにした。足や腕のリハビリ用に膝や肘に着けるタイプは1.5キログラムと軽量。持ち運べるほか、寝ながらでも使える。

腰に装着し、高齢者を抱え起こしたりする際の負担を軽くする介助者向けの支援ロボットも初めて売り出す。腰の負担を4割抑えられるという。

大和ハウスの視野の先にあるのは福祉・介護関連施設だ。同社はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどを計6千棟手掛け、同分野で業界トップクラスの実績を持つ。

一般家庭も視野

2014年の住宅着工戸数は前年比9%減少。同社全体の業績は堅調だが、15年3月期の戸建て住宅の受注額は14年3月期比7%減、マンションは同11%減だった。一方、福祉・介護関連施設の市場は右肩上がりの伸びが見込める。例えば、サ高住は3月末時点で全国に17万7千戸あるが、国は20年までに60万戸を整備する計画だ。

ただ、限られた成長市場だけに受注競争は厳しい。住宅各社が見守りサービスなどを充実させるなか、大和ハウスが他社にはない顧客獲得の武器にしようとしているのがロボットだ。

1日、都内で開いた大和ハウスの入社式。大野直竹社長は「既存事業プラス2の創出に取り組んでいる」と語気を強めた。新規事業の育成方針を示したもので、福祉・介護関連は「プラス2」の有力候補だ。

米グーグルやソフトバンクなども近年ロボットベンチャーに投資し話題を呼んだが、大和ハウスがサイバーダインに出資したのは同社発足からまだ3年の07年。08年には社内にロボット事業推進室を設置した。

サイバーダインに限らず、技術力はあるが販路を持たないベンチャーなどに注目し、種をまいてきた。人の呼び掛けに反応し癒やし効果をもたらすアザラシ型ロボット「PARO(パロ)」を介護施設などに販売しているが、開発したのは産業技術総合研究所などだ。

大和ハウス自らも住宅用の点検ロボットを製品化するなど開発を手掛けている。HALも介護施設向けにとどまるつもりはない。サイバーダインとノウハウを共有し、小型・軽量化するなど家庭向け製品の開発も視野に入れる。サイバーダイン側も「HALを住宅で使う時代は必ず来る」(営業担当者)と意気込む。

大和ハウスは今年、売上高4兆円(15年3月期見通しは2兆8千億円)に向けた新経営戦略を策定するとみられる。

高齢化は日本だけでなく、世界の先進各国で深刻になっている。同社の海外事業は現在1千億円規模とみられる。サイバーダインは欧州などにグループ拠点を持つ。ロボットは海外開拓の足掛かりになる可能性もありそうだ。

(世瀬周一郎)

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