東大・NTT、量子コンピューターの心臓部をチップ1枚に
東京大学の古沢明教授とNTTは、光の情報を離れた場所にある別の光に瞬時に転送する「量子テレポーテーション」の心臓部となる装置を1枚のチップ上に実現する技術を開発した。縦4ミリメートル、横26ミリメートルで、従来の1万分の1の大きさだ。スーパーコンピューターを大幅に上回る計算能力の「量子コンピューター」などの実現に役立つ。
量子テレポーテーションの基本となるのは、離れた場所にある複数の光の粒(光子)が互いに影響を及ぼし合う「量子もつれ」とよぶ状態だ。これを制御すると情報の転送や計算処理ができる。コンピューターとして複雑な情報処理をするには制御装置を多くつなぐ必要があるが、従来装置は大きく実現が難しかった。
チームはシリコンのチップ上に、ガラスでできた幅3マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの光の通路を作り込んだ。光源や光の検出装置などを組み合わせ、量子もつれの状態を作り、光子の状態を正確に検出できるのを確認した。従来の装置は光子を正確に送り出したり、光子の状態を検出したりするのに数百枚もの鏡やレンズを組み合わせていた。