2017年11月21日(火)

“羽生世代”の次目指す 台頭する関西若手棋士
幼少期から切磋琢磨

囲碁・将棋
2015/2/20 17:44
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 昨年末、初タイトルを獲得した糸谷哲郎竜王(26)や、昨秋の王座戦で羽生善治王座(44、名人・王位・棋聖)をあと一歩まで追い詰めた豊島将之七段(24)など、関西の若手棋士が台頭している。将棋界では羽生王座や森内俊之九段(44)ら“羽生世代”が20年ほどトップに君臨し続けてきた。ついに世代交代が始まるのか――。

 先月中旬、都内のホテルで開かれた糸谷竜王の竜王就位式には、多くの関西若手棋士の姿があった。昨年度の銀河戦で優勝した稲葉陽七段(26)、同じく昨年度のNHK杯戦で羽生王座を破るなどしてベスト4に進出し将棋大賞新人賞を受けた大石直嗣六段(25)、立命館大学在籍中の香川愛生女流王将(21)――。

 東京での就位式に、関西在住の棋士が足を運ぶことは多くない。大阪大学の大学院生でもある糸谷竜王の人望とともに、関西若手の絆の強さを感じさせた。

 この席上、自身も関西所属の谷川浩司・日本将棋連盟会長(52、九段)は「糸谷竜王の誕生で若い世代は大きな刺激を受けていると思う。これから世代間の戦いが激しくなっていくのでは」とあいさつした。

 糸谷竜王は、小学生の頃から関西の若手同士で競い合ってきた。棋界最高峰のタイトルの一つを手にした今も、「勉強しないとすぐ置いていかれる」と率直に語る。

 この20年ほど、棋界には“羽生世代”が君臨し続けてきた。羽生王座に森内九段、郷田真隆九段(43)、佐藤康光九段(45)――。現在40代半ばのスター棋士たちだ。羽生王座自身、「同世代のライバルがいたからこそ、ここまで来られた」と話す。この奇跡の世代を超えようと多くの若手が努力してきたが、現在の30歳以下でタイトルを手にしたのは、渡辺明棋王・王将(30)と広瀬章人八段(28)の2人(ともに東京所属)だけ。羽生世代のように固まりとして棋界をリードする形にはなっていなかった。

 そこに台頭してきた関西若手たち。彼らの熱気は、大阪・福島の関西将棋会館3階にある「棋士室」を訪ねれば一目瞭然だ。若手棋士や棋士の卵の奨励会員が大勢集まり、年がら年中、練習将棋を指している。彼らは普及にも熱心で、糸谷竜王を中心に「西遊棋」というチームを作ってファン向けイベントの企画・運営に取り組んでいる。

 関西奨励会で長年、幹事として若手を指導、兄貴分的な立場にある畠山鎮七段(45)は「豊島七段や中村太地六段(26、一昨年王座戦挑戦者、東京所属)らもいる中で、糸谷竜王は世代の代表とはまだいえない。同世代の棋士を圧倒せずにタイトルを獲得した初のケースではないか」と糸谷竜王誕生を分析する。それだけに、関西の若手の間では「俺も俺も」という意識が出ているという。

 一方で、畠山七段が不安視していることがある。関西若手に「良くも悪くもサークル的な仲の良さができてしまっている」ことだ。1989年に羽生王座が19歳で初タイトルの竜王を獲得した際、「佐藤さんや森内さんたちは(羽生さんを)『いつか倒す』と強く思っていたはず」。

 親しいのはいいが、なれ合いではいけない。実際、「豊島七段は最近、めっきり棋士室に来なくなった」という。

 「付き合いや普及活動も大事だが、今は『強くなることがファンサービス』と割り切って、“剣を磨く”ことに徹するのも必要。そうすれば(羽生世代からの)世代交代も近づくのでは」。畠山七段は、そうエールを送る。

(文化部 柏崎海一郎)

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