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茶道の先生はカナダ人(世界へ 関西スピリッツ)

第5部「グローバルが旗印」(3) 文化普及へ一服せず

1月下旬の平日の夜。京都市中京区の三条会商店街にある古い町家を改装した喫茶店「らん布袋(ほてい)」で茶道教室が開かれていた。教えているのはカナダ出身のランディー・チャネル宗栄。スキンヘッドで筋骨隆々と一見こわもてだが、裏千家の教授資格を持つ。「日本の文化は世界の宝物」と、生涯をかけて茶道の魅力を伝えることを誓う。

ランディーさん(左)は茶道に触れる人が増えればと願う(京都市中京区)

その日、教室ではいすに座る形のお点前「立礼(りゅうれい)」を女性3人が学んでいた。「手は返しながらと言ったでしょ」――。茶器の持ち方やひじの角度など、所作を正す流ちょうな日本語が飛ぶ。鋭い眼光で茶器を置く位置などわずかな誤りも見逃さない。

指導は厳しく

厳しく指導するのは、人に教えられるだけの技量をしっかり身に付けてもらいたいからだ。生徒には趣味として学ぶだけでなく、茶道の良さを知人などに広める役割を担ってほしい。堅苦しく難しい印象もある茶道に触れる人が少しでも増えてくれればと願う。

だから厳格なだけでなく、楽しんでもらうことも重視する。指導の後は気軽に相談に応じたり、冗談を飛ばしたりして生徒と心を通わせる。3年ほど教室に通うという会社員の乾恵理はランディーについて「美的感覚が優れ、日本人より日本人らしい」と評する。

幼い頃からボクシングやテコンドーといった格闘技に親しんできたランディーはやがて日本の武道に対する関心が高まり、約30年前に長野県松本市に移り住んだ。英語を教えながら、剣道や弓道を極めようと汗を流す日々が続いた。

たまたま住んだ家の隣に、茶道三千家の一つで最大流派の裏千家の教室があり、通うことになった。日本語は分からなかったが、見よう見まねで必死に吸収した。造園や書、花、陶芸、竹工芸など全ての芸術的要素を備える茶道はまさに「総合芸術」と感銘。この道を極めようと京都に約20年前に居を移した。

裏千家の学校に

裏千家の学校に入り、日本の歴史や文化といった教養と、お点前を本格的に学んだ。心を清らかにし、動作一つ一つに無駄がない茶道に改めてほれ込んだ。ただ「長時間の正座は痛かった」とも振り返る。卒業後は京都の梨木神社などで週2~3回ほど茶道の講座を始めた。

もっと親しみやすい場をと考え、築約100年という町家を改装して2007年、らん布袋を開業。ここでも週2回ほど教室を開く。今ではメディアにも引っ張りだこで、1千人以上の生徒を抱えるという。

外国人としては数少ない教授資格も11年に取得した。地元の大学や東京での出張教室、外国人向けの講座など活躍のフィールドは広がるが、一期一会を大事にする心構えは変わらない。

京都は千年の都として育まれた伝統や歴史の宝庫。お茶を含めて広く日本文化に触れることができる新たな施設をつくりたいという夢もある。京都から茶道を世界に広げたいという挑戦は続く。

(敬称略)

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