JTの飲料事業、ヒット不在長期化で成長見込めず

JTの飲料事業の苦戦が続いたのは自販機ルートへの依存度が高かったことに加え、ヒット商品が少なかったことも要因だ。
1996年に発売した「桃の天然水」は女性歌手を起用した広告の効果もあって店頭販売も含めて大ヒットした。だが商品の製造段階でカビが混入したことで98年に自主回収する事態に陥り、定番商品に育たなかった。

2000年に発売した「ルーツ」は自販機ルートでこそ主力商品に育ったが、コンビニなどの店舗には販路が広がらなかった。上位メーカーが看板ブランドの炭酸飲料を持つのに対し、後発のJTは競争力のある炭酸飲料がないことも響いた。
飲料総研(東京・新宿)によると、日本国内の飲料の販売量は18億ケース前後と少子高齢化の影響で頭打ちになっている。グローバル市場でたばこ事業の強化を進めるJTにとって、国内のみで手掛ける飲料事業は成長の可能性が見いだせず、撤退を決断した。
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