2018年11月18日(日)

スカイマーク、ドル箱路線が足かせに 羽田―福岡

2015/1/30付
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民事再生法の適用を申請したスカイマーク。羽田―福岡のドル箱路線での誤算が追い打ちをかけた。価格競争からの脱皮の切り札として中型機「A330」を導入したことが逆に搭乗率の低下を招く結果に。昨秋の運賃引き上げも旅客離れにつながった。世界3位の旅客数を誇る羽田―福岡線。再び業績を浮上させるには、ドル箱路線の立て直しが不可欠だ。

「羽田―福岡の搭乗率は予想より厳しそうだ」。昨年6月、日本の航空会社で初めて就航した欧州エアバスのA330。客室乗務員のミニスカートの制服も話題を呼ぶなか、直後から九州の航空関係者らは見抜いていた。「このままではビジネスモデルがもたない」

どういうことか。航空会社の搭乗率を比較すると分かる。昨年5月までの1年間の羽田―福岡の搭乗率は大半が80%を超え、好調な時は90%以上とほぼ満席の状態だった。一方、全日本空輸と日本航空の大手2社は60~70%が中心だ。スカイマークは多くの乗客で空席数をできるだけ少なくし、1日当たりの機材の回転率を高めることで低運賃を可能にしてきた。

A330は通常なら440席入るところを、271席に減らしゆったりとした空間を作った。それでも小型機材の「B737」より座席数が94席多い。サービスの質で乗客を増やす戦略だったが、昨年7月の搭乗率は73%と前年同月比で7ポイントも低下した。

その後もA330の機材を増やしたが搭乗率の低下に歯止めがかからず、昨年12月は63%まで落ち込んだ。A330は2月から運休する方針で出直しを迫られた。

価格戦略も苦しさを物語る。資金繰りの悪化で昨年10月下旬から羽田―福岡を23%高い2万7000円に値上げした。4万円を超える大手に比べると割安だが、大手航空幹部は「早割運賃では競合との差はあまりなく、価格の魅力は薄れている」と指摘する。

このため同社は再び価格戦略に追い込まれた。2月中旬から約1カ月間、羽田―福岡の対象便を8000円にする新運賃を導入。3月末の夏ダイヤからは最安値を1500円引き下げて8000円にする。競合のスターフライヤーの最安値から1800円も安い。

九州の空は新興系のスターフライヤーとスカイネットアジア航空(宮崎市)ともANAホールディングスからの出資を受けている。業績が悪化したスターフライヤーは共同運行の拡充で収益改善を図ってきた。夏ダイヤからは羽田―福岡を1便増やすなどてこ入れを図る。

新興系の航空会社の業績が低迷し、大手の独壇場になると、値上げを危惧する消費者は多い。スカイマークの有森正和新社長は29日の会見で大手から出資を受けず、第三極の立場を貫く方針を強調した。実現には羽田―福岡線を本来のドル箱路線に戻すことが重要だ。

沖縄離島、撤退・減便に落胆

スカイマークは29日、経営再建策として沖縄・九州に関わる路線の撤退や減便を明らかにした。沖縄県では離島住民の足として貢献していた宮古、石垣両空港からの撤退の方針を受けて、落胆の声があがった。

29日、宮古島市の宮古空港でスカイマークのカウンター前に民事再生法の適用の申請を知らせる掲示板が置かれた。同社は2011年に那覇―宮古線に参入。当時は最安で片道3800円にし、地元の日本トランスオーシャン航空も同額まで値下げして対抗した。「スカイマークのおかげで沖縄本島と宮古島の行き来が容易になった」(宮古島観光協会の池間隆守専務理事)と歓迎された。

スカイマークの那覇―宮古、那覇―石垣線は昨年12月の搭乗率が40%台にとどまる。同社はこれまでも搭乗率が低迷し、運休した過去がある。地元からは「今回も撤退すれば沖縄本島に行きにくくなるのでは」(宮古島のホテル関係者)との懸念が漏れた。

一方で、沖縄の観光への影響は限定的との見方が多い。県内への入域観光客数は14年に初めて年間700万人を超えるなど好調。格安航空会社(LCC)が存在感を増しているうえ、外国人客の増加も要因となっているためだ。

JTB沖縄(那覇市)は「すぐに大きなマイナスが出るとは考えにくい」(宮島潤一社長)とみている。スカイマークは06年に羽田―那覇の定期運航を始め、若者層が沖縄を訪れやすくなった。宮島社長は「沖縄観光へのスカイマークの貢献度は高く、早く経営を立て直してほしい」とエールを送る。

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