クロレラ広告に差し止め命令 「病気改善」薬のように誇張
健康食品に含まれる「クロレラ」に医薬品のような効果があるとする広告は景品表示法に違反するとして、消費者団体が健康食品会社「サン・クロレラ販売」(京都市)に差し止めを求めた訴訟の判決で、京都地裁は21日、広告の差し止めを命じた。
橋詰均裁判長は「商品に医薬品のような効果があると表示しており、厳格に審査された医薬品との誤認を引き起こす恐れがある。広告として許される誇張の限度を大きく超えた」と指摘した。
原告の代理人弁護士によると、景品表示法に基づき差し止めを求めた訴訟の判決は初めて。判決は内容が不当だったことを周知する広告の配布も命じた。会社側は控訴の意向を示した。
原告は「京都消費者契約ネットワーク」。訴えによると、会社は「日本クロレラ療法研究会」の名義で新聞の折り込み広告を配布。クロレラには高血圧を予防する効果があり、利用者はがんや糖尿病が改善したなどと紹介した。
会社側は、研究会はクロレラの効用などに関する広報活動を目的とした任意団体で「広告は研究会名義」とし、「広告には商品名が書かれておらず、宣伝には当たらない。研究結果や体験談を書いただけで誤解は与えていない」と主張した。
しかし、判決は、会社の全従業員が研究会会員となるなど「研究会は会社から独立した存在ではない」と指摘。広告は研究会が推奨する商品の購入を強く誘導しており、販売促進が目的とした。
高血圧や糖尿病が改善したとする体験談は、病気の治療や予防に効果があると暗示しており、医薬品であるように表示した「優良誤認」に当たると判断した。
クロレラは淡水に生息する緑藻の一種。高血圧や高脂血症の患者に効果があったとする研究報告もあるが、国立健康・栄養研究所は、人間に対する有効性については「信頼できるデータが見当たらない」としている。
▼景品表示法 消費者の利益を守るため、事業者の不当な表示を制限、禁止した法律。商品やサービスが実際より著しく優れていると偽る表示や広告は「優良誤認」になり、消費者への周知や再発防止を求めて消費者庁が出す措置命令の対象となる。命令に従わなければ懲役や罰金の罰則がある。2016年春には命令を受けた業者に課徴金を科すことができる改正法が施行される見通し。
〔共同〕