囲碁王座戦、新王座に村川七段 井山は五冠に後退
16日朝から三重県鳥羽市の戸田家で打たれていた第62期囲碁王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第5局は、午後7時12分、249手で挑戦者の村川大介七段(24)が井山裕太王座(25)に白番1目半勝ちし、対戦成績3勝2敗で王座を奪取した。

村川七段の七大タイトル獲得は初めてで、規定により八段に昇段する。関西棋院所属棋士の王座獲得は1981年の橋本昌二九段以来、33年ぶり。棋聖、名人、本因坊、天元、碁聖と合わせて六タイトルを持っていた井山王座は五冠に後退した。
持ち時間各3時間で、残りは両者とも1分。
序盤は互いに慎重で穏やかな立ち上がりだったが、白22の打ち込みで始まった下辺の戦いは左辺になだれ込む。左辺でコウ争いが発生し、村川七段が白84とコウを解消して大きな地を築き、白のペースとなった。
左辺で白86、88とさらに白が手をかける一方、井山王座は黒87、89と上辺に回る。白90から激しい乱戦に入ったが、黒111の一間飛びで右辺の白が大きく飲み込まれそうになり、「黒が打ちやすくなった」と解説の中尾準吾八段は話す。

村川七段は白130から中央の黒に攻めかかる。攻防のなかで黒163、165、167と動き出した井山王座に誤算があった。立会人の中野寛也九段を含む控室の検討では「中央の黒石を大きく取られては逆転」となった。
村川七段は兵庫県西宮市出身で2002年、11歳10カ月と趙治勲二十五世本因坊に次ぐ史上2位(当時)の年少記録で入段。井山王座を追う若手の筆頭格として期待されていた。井山王座とは小学生のときに初めて対局し、今では研究会も一緒に開く間柄だ。
村川新王座の話 (五番勝負では)自分の力を出し切れたと思う。(井山王座は)日本で一番強い。勝てたのが不思議でしょうがない。(初タイトルは)信じられない気持ち。