受精卵診断の対象拡大、学会が新手法承認

2014/12/14付
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日本産科婦人科学会は13日、体外受精した女性の習慣流産を防ぐ新しい受精卵診断の臨床研究を承認した。受精卵の染色体の数に異常がないか検査する「着床前スクリーニング」をしたうえで子宮に戻し、妊娠成功率や流産率などが改善するかどうかを3年かけて調べる。重い遺伝病ではない人にも対象を広げ、2015年にも始める。

2月初めのシンポジウムで専門家らに説明し、広く意見を募る。早ければ2月末にも開く学会理事会で具体的な手順が承認される見通し。

体外受精後に細胞分裂を始めた受精卵から細胞を取り出し、「アレイCGH」という方法で染色体の本数の異常を調べる。体外受精や受精卵の診断は学会が指定する施設に限る。検査には高度な技術が必要で、慶応義塾大や東京女子医大、名古屋市立大などが候補になっている。

臨床研究は不妊治療を受けて繰り返し着床に失敗したり流産したりした夫婦などを対象に、3年間で計600例の実施を予定している。卵子に注射針で精子を注入する顕微授精で受精卵を作り、染色体の本数に異常のない受精卵を選んで子宮に戻したとき、妊娠する確率が上がるかどうか、流産するリスクを下げられるかどうかを調べる。

日本は出産の高齢化などの理由で流産を繰り返すケースが増えており、社会問題になっている。精子や卵子の染色体の本数の異常が流産を繰り返す原因として疑われているという。

新たな検査方法はすべての染色体を一度に調べるため、染色体異常を見分けやすい。

一方で新手法はダウン症などを受精卵の段階で排除することにもつながりかねず、倫理的な問題をはらむ。理事会後の会見で、学会倫理委員会の苛原稔委員長は「流産を防ぐ有用性がわかってから、実際に医療として導入するかどうかについては倫理的な検討を加える」と説明した。

受精卵診断 体外受精した受精卵の細胞を取り出して、染色体や遺伝子の異常などを調べる検査。異常のない受精卵を子宮に戻し、出産をめざす。

日本産科婦人科学会はこれまで、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど重い遺伝病や、染色体の構造異常で流産を繰り返す人などに限り、染色体の一部の検査を認めていた。

新たな臨床研究は流産の回避のため、重い遺伝病ではない人も対象とし、すべての染色体の本数の異常を調べる。当面は研究として実施するが、有用性が確認できれば、医療に応用する前に倫理的な問題の検討が必要になる。

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