東北経済界、増税延期「やむを得ず」 景気先行き懸念

2014/11/19付
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安倍晋三首相が消費税率の10%への引き上げを先送りしたことに、東北経済界から一定の理解を示す声が上がった。景気回復の足取りの重さを考えるとやむを得ないとの見方が大勢だ。だが、地方はアベノミクスの恩恵を受けていないとみる経営者は多く、むしろ先行きへの懸念は強まっている。次期衆院選では経済政策への評価が主要な争点になりそうだ。

東北経済連合会の高橋宏明会長は18日、「再増税による景気の腰折れリスクが高まっている。増税先送りの判断はやむを得ない」との談話を発表した。重ねて「政治の停滞は最小限にとどめる必要がある」とし、復興財源の確保や地方創生の推進、安全が確認された原子力発電所の早期再稼働に取り組むよう求めた。

首相の判断を受け入れつつ、年末解散がもたらす景気への悪影響を懸念する声も目立つ。東北六県商工会議所連合会の鎌田宏会長は同日発表した談話で「被災地の復興や来年度予算の編成を遅らせず、選挙後の準備もしっかり進めるべきだ」と注文。秋田商工会議所の三浦広巳会頭も首相の判断を妥当としながらも、「地方の小売・サービス業にとって年末は稼ぎ時。商売がやりにくい」と苦い表情を浮かべる。

復興需要のある被災地以外では景気回復の実感が乏しい。山形商工会議所の清野伸昭会頭は「年内解散で経済対策が途切れる」と不安視する。青森県商工会議所連合会の若井敬一郎会長も「景気回復を中小企業や地域に広く行き渡らせる政策の実行が肝要」と話す。

円安による燃料費負担の増加や人手不足は経済の重荷。「経済下支えを最優先すべきだ」(玉山哲・盛岡商工会議所副会頭)との声もあり、安倍首相も18日の記者会見で地方経済をてこ入れする考えを強調した。

仙台経済同友会の大山健太郎代表幹事は「個人の所得が増えない限り、景気の先行きは厳しい。米価下落による農家の収入減も東北経済にはマイナスだ」と指摘する。スーパーやホームセンターなど小売店の売り上げは10~11月も伸び悩んでいるという。衆院解散についても「女性雇用の増加や地方創生などの具体的な議論なしに選挙をすることになる」と疑問を投げかけた。

一方で、増税先送りのリスクを注視する見方もある。七十七銀行の氏家照彦頭取は同日、日本経済新聞の取材に対し、「国際的な信認も踏まえ、財政健全化やデフレ脱却につなげてほしい」と増税の必要性に言及した。ただ今回の先送りで10%への引き上げ判断は一段と難しくなった面もある。氏家頭取も「経済の実情をよく見極める必要がある」とし、増税時期を慎重に探るべきだとした。

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