東京を自転車の街に 五輪に向け専用レーン計画
2020年東京五輪に向け、東京都は環境に優しい交通手段として自転車の活用を打ち出している。ロンドンを参考に、専用レーンを整備して総延長を倍増させる計画だが、ルートは途切れ途切れ。さらなる自転車文化を根付かせるためには課題も多い。

ロンドンは12年五輪をきっかけに「自転車革命」を成し遂げたとされる。現地を視察した舛添要一都知事は「道路が狭く状況が東京に非常に似ていた。参考になった」と振り返った。
10月31日朝、ロンドンの市街地では、ヘルメットに蛍光色の上着姿で自転車にまたがった人々が、自転車レーンを次々と駆け抜けていた。
ロンドンもかつては自転車活用で出遅れていた。五輪を契機に鮮やかな青色で塗装され、市街地と近郊都市間を途切れることなく結ぶ「自転車スーパーハイウエー」を導入するなど環境整備を進めた。
ロンドン在住で、自転車を利用している編集者の青木陽子さんは「自転車レーンの塗装は自動車の運転手に注意喚起する効果があり、安心して走りやすくなった」と話す。
舛添知事と会談したロンドン市のジョンソン市長も自転車愛好家で「レーンの導入には勇気が必要だが、みんなが気に入ると思う。東京でもお薦めします」とアドバイスを送った。
都内では、都道の自転車レーンなど自転車走行空間が13年3月末時点で計120キロ。都は20年までに計232キロに延伸する計画で、舛添知事も「空気がきれいになり健康のためにもいい。ガソリン代も通勤費も掛からない。自転車の活用は一石四鳥になる」と指摘する。
だが、都が計画するルートは途切れる箇所が多い。都道約2千キロや区市町村道約2万キロのほか、国道もあり、それぞれ管轄が異なる。都が中心となって本年度中に推奨ルートを設定する考えだが、実際に整備が進むかは不透明だ。
都市交通評論家の亘理章さんは「ロンドンでは、生活道路を時速32キロに規制して自動車と自転車の共用にする『ゾーン20マイル』の地区も増えている。道路環境の整備は広ければ広いなりに、狭ければ狭いなりに知恵と工夫が必要だ」と指摘している。〔共同〕