東北電、再エネ買い取り中断説明会 事業者は動揺

2014/10/8付
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東北電力は7日、再生可能エネルギーで発電した電力の新規買い取りを1日から中断していることについて、発電事業者向けに仙台市で説明会を開いた。中断しない場合に停電の恐れがあることを訴えたが、事業計画の見直しなどを迫られる事業者の動揺はおさまらないまま。太陽光や風力発電の導入にブレーキがかかる可能性が出てきた。

「急に発表されても、直ちに対応できるはずがない」。岩手県岩泉町で出力750キロワットの太陽光設備を計画している岩田邦明さん(59)は、説明会でマイクを手に声を荒らげた。

東北電に提出した買い取り申し込みの書類に不備があり、再提出を準備していたときに中断が発表になった。既に土地の購入やパネルの発注に約2億6千万円をつぎ込んだという。東北電の担当者は約550人の出席者を前に「謝っても謝りきれない」と口にした。

再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)では、電力会社は発電事業者の電気を買い取る義務がある。東北電は電力の安定供給に支障が出る恐れがあるとして、1日以降、まず太陽光から新規契約を中断している。九州電力が9月下旬に中断を発表して以降、同様の動きは各地の電力会社に広がっている。

東北電管内で経済産業省の認定を受けた再エネ設備の出力規模は5月末時点で1149万キロワット。冷暖房が要らない5月の平日の需要量である約970万キロワットを上回る。需要を大きく上回る電力が一気に送電線に流れ込めば、発電設備が故障して停電する可能性があるという。

再生エネの売電に投資してきた事業者は計画の見直しを迫られている。

東北を地盤に運送・倉庫業を展開するセンコン物流は、2013年に太陽光発電事業に参入。1万キロワット規模の発電設備を整備する計画だったが、約2800キロワット分は東北電との契約が済んでいない。買い取り中断で「今後の事業計画が狂った」(久保田晴夫社長)という。

再生エネ設備の製造業者も例外ではない。太陽光パネルの製造・販売を手掛けるトワダソーラー(秋田県鹿角市)の湯瀬昇社長は「この状態が長引けば業績への影響は大きい」と話す。買い取りを中断した九電管内の事業者からは発注キャンセルが出ているという。

東北電は余った電力を管外に供給したり蓄電池を使って供給力を調整したりすることを検討する。ただ保留期間は数カ月に及ぶ見通しで、再生エネ普及が足踏みする懸念も出ている。

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