2019年2月20日(水)

リニア、長野の不満残る「発車」 JR東海、10月にも着工

2014/8/26付
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東海旅客鉄道(JR東海)は26日、2027年に開業予定のリニア中央新幹線で工事実施計画の認可を国土交通相に申請した。長野県区間については県内から要望が強かった工事用トンネルの非常口削減などは補正前の環境影響評価書から変更せず、沿線自治体にとっては不満が残る結果となった。今後は沿線地域の住民への工事説明会を予定しており、事業計画の丁寧な説明がカギになる。

かねて阿部守一知事はJR東海に対し、環境への影響が大きい工事用トンネル非常口数の削減、大鹿村の小渋川(こしぶがわ)橋梁の地中化、沿線自治体との環境保全協定の締結、の3点を要望してきたがいずれもはねつけられた格好だ。

長野市内で開いた記者会見で、JR東海の中央新幹線建設部の沢田尚夫担当部長は、4月に国交相に提出した環境影響評価書で「削減の余地がある」としていた豊丘村の工事用トンネル1カ所については「工事計画を進めないと結論が出せない」として現段階では削減しない考えを示した。

小渋川の橋梁の地中化についても「施工難易度も高く、リスクも上がる」として当初の計画を変えず、工事用車両の増加に伴う周辺自治体との環境保全協定も「特段の協定を結ぶことは考えていない」と言明した。

県内ではトンネル掘削などに伴う残土が974万立方メートル発生する予定だ。県は7月にトンネル掘削などに伴う残土について、事業に活用できそうな市町村の一覧を発表した。10市町村と2建設事務所が手を挙げている。「足りないという状況ではないが、まだ判断できない」(JR東海)という。

南信地域では工事に伴う騒音や残土を運搬するトラックの影響を懸念する声が多い。阿智村では昼神温泉の旅館経営者などから工事車両の通行による観光への悪影響を懸念する声があがる。「住民も生活道路を多くのトラックが通ることを心配している。JR東海に工事用道路の設置を求めていきたい」(阿智村役場)と話す。

大鹿村の長尾勝副村長は「公告の期間が済む前に工事実施計画を提出するのはおかしいのではないか」と不満を口にした。「住民の生活を守るためしっかりと協定を結んでいきたい」と大気汚染や騒音のモニタリングについてあくまでJR東海と協定を取り交わすことを目指す。

JR東海は国交相の認可が下り次第、周辺住民との工事説明会を開催した後に測量などに着手する。リニア自体は10月にも着工するが、長野県内の着工時期は未定だ。「これまでの市町村単位ではなく、もっと細かい単位で工事用車両の本数など細かい部分について説明していきたい」(沢田担当部長)という。

阿部知事は「JR東海は評価書で地元自治体との意見を十分勘案するとしている。これを常に念頭に置いた地域との丁寧な合意形成を求める」とのコメントを発表した。丁寧な説明で地元の理解を得ることが重要だ。

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