新国立競技場、年3億円の黒字見込む 五輪後の収支試算
日本スポーツ振興センター(JSC)は19日、2020年東京五輪・パラリンピックに向け建設する新国立競技場について、五輪終了後の収支計画を発表した。スポーツ大会やコンサートなどによる収入38億4千万円に対し、維持管理費などの支出は35億1千万円で、年間3億3千万円の黒字を確保できる見込みと試算した。
今の国立競技場の収入・支出はいずれも年7億円程度で、事業規模は5倍超に膨らむことになる。
同日、文部科学省で記者会見したJSCの鬼沢佳弘理事は「多角的な事業展開で自立した運営を目指したい」と話した。しかし、毎年の支出とは別に、完成から50年後までに大規模改修費として656億円かかるといい、JSCは「改修時は国に補助金を要請したい」としている。
計画では新国立競技場で年間に大規模なスポーツ大会が36日、コンサートが12日開催される想定で、9億8千万円のイベント収入を計上。コンサートの開催実績はこれまで年2日程度だったが、「屋根がある大規模会場は珍しくニーズは高い」(JSC)という。
そのほか、年間最高700万円のVIP室の契約料で12億5千万円、競技場を企業の広告に利用できる権利の使用料などとして10億9千万円を見込んだ。支出では電気設備や機械の修繕費として6億3千万円、年間2回の張り替えを含む芝の管理費として3億3千万円などを計上した。
新国立競技場は8万人を収容する可動式の観客席や開閉式の屋根を備え、総工費は1692億円。19年3月の完成を目指している。